この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
滲む墨痕
第2章 顔筋柳骨

 しばらくして、眉を下げた藤田は「そうかあ」と深いため息のような声を発すると、突然その両手で潤の手を包んだ。

「……っ」
「ありがとう。潤さん」

 分厚くてごつごつした、大きな手。あの個展で感じた書家の力強いイメージが、まさにこの手の中にあった。
 ああ、やはりあれを書いたのはこの人なのだ、と潤は改めて本能的に感じ取った。

「また来てもいいですか、先生……」

 思わず口走ったあと、自分の声が妙に色づいていることに気づく。包まれている手を心持ち引き寄せられた気がして、冷静に言い直す。

「次は体験ではなくて、学びに。月謝はおいくらですか」

 瞬間、誠二郎と女将の顔が浮かび、潤は藤田の手を振りほどいた。

「やっぱりだめです。……今ちょっと家が忙しいもので」

 支離滅裂な自分を呪いながら「すみません」と小さく呟くと、藤田がおかしそうに顔をゆるめ、肩を揺らしてくすくす笑いだした。

/335ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ