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官能書道/筆おろし
第2章 想浴
(涼泉先生の裸って、どんなだろう?)

 雑誌のグラビアページで見たヌード写真を、まだ見ぬ師の裸身に重ねる。
 しかし、その猥雑で肉感的な裸体と涼子の秀麗な美貌の組み合わせは、夢想の中でさえちぐはぐで、まるでつり合いがとれなかった。

(涼泉先生はあんないやらしい身体じゃないよな)

 胸もお尻も、ことさらに存在を主張するような生々しさはない。

 反対に、ゴツゴツと硬かったり、肉が薄くて骨っぽいのでもない。
 細筆で書いた草書体のように、スリムで流れるような身体つきだ。

(もっと綺麗で、清楚な感じの裸にきまってる)

 名画や彫刻の裸体を思い浮かべる。
 ボッティチェリの〈ビーナスの誕生〉やミロのビーナスなどだ。

 しかし、それもしっくりこなかった。
 そうした裸は整いすぎて、見ていてもちっとも楽しくない。
 というか、官能が刺激されない。

(気品があるけど、ぞくぞくするような裸。
 お尻もきゅっと締まって形よく……)

 なまめかしいイメージが頭の中に次つぎと湧いてくる。

 涼子の裸身を思い描くうちに、ズボンの中でペニスがさらに硬く大きく育ってくる。
 若い肉の棒はデニムの布地で押さえつけられる窮屈さに、抗議の声をあげはじめた。

(いけない。先生を冒涜するような想像を……)

 そう思っても、思春期の妄想はとまらない。
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