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官能書道/筆おろし
第2章 想浴
 物干し場に出た。
 波板でひさしを造り、雨がかからないようにしてある。
 床は樹脂材で、アルミの囲いがしてあった。

 曇っているので夕日は見えないが、もうすぐ日没であたりは薄暗い。

 澄夫は囲いから身を乗り出して、一階の浴室側を見た。
 浴室の明かりがほんのりと庭に漏れている。

(窓があいている……)

 ごくっと唾を呑み込む。

 湯けむりが薄くたなびく中、肌色のなまめかしい影が揺らいでいた。

(ああっ、涼泉先生が、は、はだかでっ!)

 夢とまごうばかりの光景がそこにあった。

 浴室の窓から、美しい書道の師が全裸でシャワーを浴びている姿が見えるのだ。
 長い黒髪をシャワーキャップに収めて、首筋から胸元にかけて心地よさそうに湯を掛けている。

 残念ながら下半身は見えないが、胸のあたりまでの裸身をはっきりと覗くことができた。
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