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官能書道/筆おろし
第1章 長鋒
涼子の美しい瓜実顔は、口元に柔らかい笑みを浮かべたままだった。
慈しむように筆先を見つめて、軽く小首をかしげた仕草にも風情がある。
津路《つじ》澄夫《すみお》はその姿をうっとりと見つめた。
(涼泉《りょうせん》先生は、本当にうれしそうに筆をおろされる)
涼泉というのは、涼子の書家としての号である。
かずかずの書道展で賞を取り、二十八歳の若さですでに中央書壇でも認められた実力派の書道家だった。
書作を行う涼子は真剣そのもので、そこに一部の隙もない。
しかし、こうして横座りになって筆をおろしている時は、楽しげに和んで、子どもが新しいおもちゃで遊んでいるようだった。
慈しむように筆先を見つめて、軽く小首をかしげた仕草にも風情がある。
津路《つじ》澄夫《すみお》はその姿をうっとりと見つめた。
(涼泉《りょうせん》先生は、本当にうれしそうに筆をおろされる)
涼泉というのは、涼子の書家としての号である。
かずかずの書道展で賞を取り、二十八歳の若さですでに中央書壇でも認められた実力派の書道家だった。
書作を行う涼子は真剣そのもので、そこに一部の隙もない。
しかし、こうして横座りになって筆をおろしている時は、楽しげに和んで、子どもが新しいおもちゃで遊んでいるようだった。