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官能書道/筆おろし
第3章 双鉤
「涼泉先生、もう許してください」

(でも、これが涼泉先生の裸を覗き見した罰なら――)

 この恥ずかしさに耐えなければと思う。
 心のどこかでは、もっと恥ずかしいことをされるのを期待している自分がいた。

「硬い筆は柔らかくおろさないとね」

「な、なんのことですか」

「澄夫くん……
 さっき、わたしが筆をおろすのを見て、ヘンなこと考えていたでしょう?」

 涼子が咎めるような目つきで見上げてきた。
 澄夫は少女のように顔を赧くする。

(先生、気がついていたんだ)

 すぐに、涼子の顔がほころんだ。

「筆みたいに、ここをお口で柔らかくしてあげようか?」

「それって……」

 ごくっと唾を呑み込む音が、びっくりするほど大きかった。

「知ってるでしょう? 高校生ですものね」

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