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官能書道/筆おろし
第3章 双鉤
 もちろん、知っていた。
 フェラチオだ。
 口で男のものを咥えて行う淫らな行為だ。

(涼泉先生が、フェ、フェラチオをっ!)

 カーッと頭に血が上る。

 いやらしいビデオでしか知らないそんな行為を、凛凛しく美しい書道の師がしてくれる。
 これが罰なら、なんて甘美な罰だろう。

「ガールフレンドはこんなこと、してくれないの?」

「そんな人いません」

 澄夫は首を振る。

「カノジョとか、いないの、澄夫くん?」

「い、いません、カノジョなんて」

 本当だった。

 学校では数人の女子からそれらしい接触があったが、澄夫は相手にしなかった。
 女の子に関心がなかったわけではない。
 しかし、今は書道の方が大事だと思っていた。

 それよりなにより、涼泉先生ほど魅力的な女性が、学校にはいかなったというのが本当だったのかもしれない。
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