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愛里 ~義父と暮らす小学六年生~
第5章 教室での『はじめて』
「何だか愛里ってば、最近すっかり大人っぽくなったわね」
爽やかにボールを追う愛里を見ながら、綾香が言う。
「そうだね」
並んで座りながら幸彦は答えた。
「うん。幸彦くんのおかげね」
「え?」
どきり。幸彦の心臓が高鳴った。まさか、気付かれているのか…?
「だって、幸彦くんみたいな大人な雰囲気の人と一緒にいるんだもの。愛里も見て学ぶことが多いのでしょうね」
「ああ、うん。そうかな」
思わず曖昧な返事をしてしまった。
ばれていない。幸彦は綾香からは見えない角度で安堵の息を吐いた。
「それでね、お願いがあるの」
「お願い?」
「うん」
かさりと音を立てて、綾香が一枚の紙を取り出す。学校からのお知らせだった。
確か夏休みに入る前、愛里が同じものを持ち帰って来たと思う。今日また学校で配布していたのを綾香が改めてもらってきたようだ。
『プール開放のお知らせ』
小学校のプールは、希望者が参加できるプール教室の他に学校に通う生徒なら開放日には自由にプールを使うことが出来る。
それと、もうひとつ。別のことが書いてあった。
『教室で宿題しませんか?』
親子で教室で宿題をやってみるのはいかがでしょう。家では落ち着きのない子でも学校では集中して宿題に取り組めるかもしれません。お父さん、お母さんもぜひご一緒に。
「愛里ったらまだ算数の宿題に全然手を付けてないみたいなの」
「え、そうなの?」
「ええ。他はちゃんとやってるみたいなんだけどね。愛里って私に似て文系だからどうしても算数が苦手みたいなのよね」
なるほど。確かに愛里の部屋の本棚には児童向けの文庫本が多く並んでいる。ショッピングモールに三人で出かけた際に、本屋に立ち寄っておねだりをされたこともある。
リビングのソファで熱心に読書をしている姿を何度か見ていた。
しかし、学校もいろいろなことを考えるものだ。少子化のこのご時世、どうにかして子供とその家族の評判を上げておきたいのだろう。
爽やかにボールを追う愛里を見ながら、綾香が言う。
「そうだね」
並んで座りながら幸彦は答えた。
「うん。幸彦くんのおかげね」
「え?」
どきり。幸彦の心臓が高鳴った。まさか、気付かれているのか…?
「だって、幸彦くんみたいな大人な雰囲気の人と一緒にいるんだもの。愛里も見て学ぶことが多いのでしょうね」
「ああ、うん。そうかな」
思わず曖昧な返事をしてしまった。
ばれていない。幸彦は綾香からは見えない角度で安堵の息を吐いた。
「それでね、お願いがあるの」
「お願い?」
「うん」
かさりと音を立てて、綾香が一枚の紙を取り出す。学校からのお知らせだった。
確か夏休みに入る前、愛里が同じものを持ち帰って来たと思う。今日また学校で配布していたのを綾香が改めてもらってきたようだ。
『プール開放のお知らせ』
小学校のプールは、希望者が参加できるプール教室の他に学校に通う生徒なら開放日には自由にプールを使うことが出来る。
それと、もうひとつ。別のことが書いてあった。
『教室で宿題しませんか?』
親子で教室で宿題をやってみるのはいかがでしょう。家では落ち着きのない子でも学校では集中して宿題に取り組めるかもしれません。お父さん、お母さんもぜひご一緒に。
「愛里ったらまだ算数の宿題に全然手を付けてないみたいなの」
「え、そうなの?」
「ええ。他はちゃんとやってるみたいなんだけどね。愛里って私に似て文系だからどうしても算数が苦手みたいなのよね」
なるほど。確かに愛里の部屋の本棚には児童向けの文庫本が多く並んでいる。ショッピングモールに三人で出かけた際に、本屋に立ち寄っておねだりをされたこともある。
リビングのソファで熱心に読書をしている姿を何度か見ていた。
しかし、学校もいろいろなことを考えるものだ。少子化のこのご時世、どうにかして子供とその家族の評判を上げておきたいのだろう。