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愛里 ~義父と暮らす小学六年生~
第5章 教室での『はじめて』

「何でしょう?」
「うちの家族の事情はご存知でしょうか?」
「ああ、ええ、存じております。ご再婚だとか」
「ええ」
「確かお父様は会社の社長でいらっしゃるんでしょう? ご立派ですね」
「いえ、小さな会社ですよ」
どうやらこの教師は自分を信頼しはじめている。
娘の宿題を手伝う優しい父親とでも思ってくれているのだろう。
「そこで、ですね。実はこの機会に娘といろいろじっくり話をしてみたいのです」
「ほう?」
「せっかく教室を使わせて頂けるので、いい機会かと」
「なるほど。そうですね」
「それで、ですね。私達が教室に入ったら時間まで二人っきりにしてほしいのです。家庭の話ですのでね」
愛里の母親は病弱だと、その教師は聞いていた。その母親に関する話だろうか。それならば確かに、当人がいないところの方が話しやすいだろう。教室というのは、そういう真面目な話をするのにはうってつけの場所だ。
「分かりました。では当日は終わりの時間になりましたら、また職員室にお立ち寄りください。それで結構です」
「ありがとうございます」
幸彦は丁寧に頭を下げた。
準備は整った。あとは当日を待つばかりだ。
「うちの家族の事情はご存知でしょうか?」
「ああ、ええ、存じております。ご再婚だとか」
「ええ」
「確かお父様は会社の社長でいらっしゃるんでしょう? ご立派ですね」
「いえ、小さな会社ですよ」
どうやらこの教師は自分を信頼しはじめている。
娘の宿題を手伝う優しい父親とでも思ってくれているのだろう。
「そこで、ですね。実はこの機会に娘といろいろじっくり話をしてみたいのです」
「ほう?」
「せっかく教室を使わせて頂けるので、いい機会かと」
「なるほど。そうですね」
「それで、ですね。私達が教室に入ったら時間まで二人っきりにしてほしいのです。家庭の話ですのでね」
愛里の母親は病弱だと、その教師は聞いていた。その母親に関する話だろうか。それならば確かに、当人がいないところの方が話しやすいだろう。教室というのは、そういう真面目な話をするのにはうってつけの場所だ。
「分かりました。では当日は終わりの時間になりましたら、また職員室にお立ち寄りください。それで結構です」
「ありがとうございます」
幸彦は丁寧に頭を下げた。
準備は整った。あとは当日を待つばかりだ。

