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愛里 ~義父と暮らす小学六年生~
第6章 開花し始めた性の器
「お待たせ」

 声をかけられた愛里は、泣きそうな顔をしていた。
 幸彦は愛里の心の全てに気付いたわけではない。愛里が感じた葛藤の全てを理解したわけではない。

 それでも愛里が性の快感に戸惑っているのだけははっきりと理解出来た。

 実はメロンパンはすぐに見つかった。そのまま愛里に元に戻ることも出来た。
 しかし幸彦は、愛里を視界の中に捉えたままあえて時間をかけて店内をぶらついた。

 下着を着けていない体が気になるのか、愛里は終始もぞもぞしていた。
 透けてしまいそうな乳首が気になるのか背中を丸めたかと思えば、それによって強調される尻が気になるのか、急に背中を真っ直ぐに伸ばす。

 実際に前屈みになると尻の谷間がうっすらと影のように見えなくはない。胸を隠す腕が緩むとノースリーブの脇の下から小さな膨らみが覗いて見えたりもした。

 だが愛里が危惧するほどの絶望的な状況にはなっていない。自分は愛里が下着を着けていないことを知っているからワンピースの中に注意が行ってしまうが、知らない人が見ても何も気付きはしないだろう。

 だから愛里はただ何事もなかったように立っていればいいのだ。

 なのに愛里はまるで全裸でそこに立っているかのような、全ての視線が自分に向いているような、そんな動きをしている。

 太ももが擦り合わされている。愛里が快感に耐える時によく見せる動きだ。

 薄いワンピース一枚で大勢の人の中に放り込まれて、愛里は性の快感を得ている。

 レジの順番が近付いて来てようやく幸彦は戻った。
 誰にも気付かれないように、しかし確実に震えている肩に手を置くまで愛里は本当に自分に気付いていないようだった。真っ赤な顔に涙を浮かべた目で自分に振り向いた。
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