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愛里 ~義父と暮らす小学六年生~
第2章 ゴールデンウィーク。旅行一日目
 体を抱くようにきつく閉じられた愛里の腕の中を、幸彦の腕が強引に割って進む。少女と大人では膂力が違い過ぎる。

 愛里の必死の防御はあっさり突破された。

 まだ湿ったままの水着が包み込む、張りのある柔らかい少女の膨らみに大人の無遠慮な腕が届く。

「愛里ちゃん、いい…よね?」
「いいって…」
「またお父さんとセックスしよう?」

 言いながらも鷲掴みにした胸を揉みしだく。水着の胸部分の裏側には子供用にも薄いながらもパッドが入っている。乳首が透けるのを防ぐためだ。
 それでも強く手のひらを押し当てると、胸の中央に手触りの違う箇所があるのが分かる。

「や、やだよぉ…」
「前はさせてくれたじゃない?」

 別にさせたわけじゃない。されてしまったのだ。

 しかし愛里はその言葉を口から出せない。
 もし幸彦に嫌われてしまったら、自分はどうなるか。いや、自分だけじゃない、母親の綾香もだ。病弱な綾香は、それでも最近は体調が落ち着いているように思える。幸彦との暮らしのおかげだ。

 綾香は無理して続けていた仕事を辞め、静かで穏やかな時間の中での生活を楽しんでいる。もう訪れることはないと思っていた自身の幸せと家族団欒の時間を心の底から喜んでいる。

 もし幸彦に見限られてしまえばまた貧乏生活に逆戻りだ。病弱な母と小学生の娘二人。とても暮らしていけない。

 それが愛里の抵抗を鈍くさせる。

 それに、幸彦は愛里にとってもいい父親だった。

 勉強も教えてくれるし遊び相手にもなってくれる。会社の経営者である彼から、大人の仕事の話を聞くのもけっこう楽しい。

 だから、愛里は幸彦が嫌いではない。春休みの浴室のことも許した。油断していた自分も悪い、と。
 綾香にも言わなかったし、その後もしばらくはまたされてしまうのではないかと緊張していたものだが、変わらずいい父親であった幸彦にすっかり気が緩んだ。

 なのにまた、されてしまう…
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