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姦譎の華
第24章 24
 はいぃっ、快活に返事をした稲田は、やっとのことで指示に従ってくれた。

「力入れんなよ」

 愛紗実は脚を組んで煙草に火を点けると、首根にヒールが刺さるのも構わず稲田の後頭部へ靴裏を付け、煙を吐くに合わせてゆっくりと踏み込んでいった。

「ああぁっ!!」

 島尾の巨体に隠されて、その顔を拝んでやることはできなかった。しかし一時間も放置された襞壁を擦られた震慄が、ブーツの底へと如実に返されてくる。

「あうっ……、いあっ……、ひ……、んあぁっ!!」
「ほら、こうやってやるんだよ、こう」

 耳を擽る悲鳴に悦に入りながら、愛紗実はアクセルをふかすように何度も踏みこんだ。

 とはいえ、あくまでも徐行だ。決して、ベタ踏みすることはない。

「ふ、ふごい……れす。ホ、ホマンフォがぎゅふぎゅふ……、ひめふけてくるぅ……」

 稲田に実況してもらうまでもなく、足裏に返されてくる反発から、女の洞穴で荒れ狂う凄悦のほどは手に取るようにわかっていた。張形の進み具合が鈍り、向こうから瘤を抱きしめてくると、スッと足首を緩めて稲田の頭を引かせる。

「ブタもやめろ」
「あうぁっ……。……っ、……ん、……んんっ!」

 島尾にも舌を収めさせると、寸前というところで肩透かしを食らった多英が駄々をこねるように張形をくねらせた。グズっている間はゆるやかに旋回させて粘液を塗り延ばし、一息つきそうな頃合いでソールを押し出す。

「……や、や……、あぁっ!!」

 稲田は完全に頚椎を預けているから、瘤は意中の場所へとめり込んだ。多英はスプリングを軋ませて必死に大の字を撚じらせようとしているが、圧点をズラすことなく抉り続ける。

「反省する気になりました? 反省するんなら、イかせてあげてもいいですよ」

 いつでも、この女を絶頂させてやることができる。

 だが、文字通りの随喜に浸らせてやるなんて、もってのほかだった。
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