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姦譎の華
第11章 11
「うっ……、っと……」
 終り際の身震いで呻いたあと、「おっ勃っちまってると、ションベンもやりにくくてしょうがねえな」

 そう独りごち、ジッパーを上げている。

 なぜ勃起している?
 稲田は自分のことは棚上げにして訝しんだ。

 射欲は吹き飛び、急いでブリーフを引き上げる。焦るあまりスライダーが噛み、ベルトの穴もうまく嵌めることができなかった。ドアを開ける直前、自分がまだ覆面をしたままだということに気づいて慌てて取り外すも、急いではいるが丁寧に畳み直さないわけにもいかず、ようやく廊下へと出た時には、どこにも島尾の姿は見つけられなかった。

「はっ……」

 ちょうど一番奥まったところにある鉄扉が閉まろうとしているところだった。
 ギリギリ見ることができたパンプスの上に、パンツスーツの裾が確認できた。










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