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魔法使いの誤算
第1章 /1
「大丈夫?ごめんね……夕日に無理させた……」
ベッドに腰掛けションボリとする京平は、悪戯をしてしかられた猫のようだった。
俯き溜息をつく京平を私は後ろから抱き締めた。
お風呂に入ったのか、石鹸の優しい香りが首筋からする。
私は京平の首筋に顔を埋めながら、先程言えなかった言葉を二回繰り返した。
「愛してる……愛してる」
京平の脳みそに染み込ませるようにゆっくりとハッキリとそう言い、抱き締める腕に力を込めた。
私は京平を愛してる。
あなたが私を想うよりも強くあなたを想ってる。
心の底から愛してる。
どうしようもない愛おしさが胸をいっぱいにする。
こんなにも愛しているのに京平は不安がる。
心配性なんて単純なものじゃないと私は思っているが、何が京平をそんなに不安にさせているのか分からないのだ。
聞いても京平は答えない。
ただ黙って抱き締めるだけ。
『聞かないで』と、目で訴えて笑うから聞けなくなった。
「うん……俺も愛してる。ごめん乱暴に抱いて。ごめん変な事聞いて。俺夕日の事好き過ぎてどうしたらいいのかわからなくなる」
「京平の好きにしたらいいよ。京平になら何されても嫌じゃない」
そう言った私の頭を、京平はいつものように優しく撫でてくれた。