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魔法使いの誤算
第1章 /1
香水好きな私はキッチンでチンジャオロースを温め直している京平に提案をした。
「明日百貨店に行きませんか京平君?」
私の急な提案に京平は『百貨店?』と尋ね返してきた。
元々明日は二人共休みが被ったのでデートする事になっていたが、どこへ行くかは決まっていなかった。
「久々に香水が欲しくなって」
「香水?この前の休みに買ってなかったっけ?」
『また買うの?』と言葉を付け加えられ、笑って誤魔化した。
唯一の趣味と言っても過言ではない香水集めだから、そこは寛容な心で許してほしい。
無駄遣いとか言って怒らずに『いいよ』と頷いてほしい。
京平が何て言ってくるのか待ち構えていると、あっさりと『いいよー』とオッケーを出してくれた。
大皿によそわれたチンジャオロースをテーブルに運び、『欲しい香水でもあんの?』と聞いてきた京平はやれやれと言う顔で笑っていた。
私はチンジャオロースの美味しそうな匂いにお腹を鳴らしながら『あるよー』と答え、舌なめずりをした。
「本当に好きだよね香水」
「唯一の趣味だからね。香水収集が。なんか香水って素敵じゃん?瓶のデザインとか色とか。あと女子力上がる気がする」
香水が好きな理由を聞いた京平はクスクス笑い、二人分のご飯と味噌汁と箸とぶつ切りのたくあんが乗ったおぼんをテーブルの上に乗せ、それぞれを各自の座る場所に並べた。
ぶつ切りのたくあんはテーブルの中央に置かれたチンジャオロースの隣に並べられた。
「召し上がれ」
晩御飯を並べ終えた京平にそう言われた私は両手を合わせて『いただきます』と言い、箸でチンジャオロースを摘みご飯の上に乗せた。
チンジャオロースの肉の油と汁が白いご飯に染み込んでいくのが堪らなく美味しそうで、私は勢いよく白米とチンジャオロースを頬張った。