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魔法使いの誤算
第2章 /2
百貨店は好きだ。
化粧品や香水がズラリと並べられ、キラキラしているから。
高級感があり、とてもいい香りがする。
まるでお金持ちになった気分を味わえて気分が良くなる。
「で、お目当ての香水はどちらですかお嬢様?」
目を輝かせお金持ち気分に浸っている私の気分を盛り上げようとしているのか、それともからかっているのか、執事の様な口調でそう尋ねてきた京平に、私はフフフと怪しく笑い返した。
「何その笑い。何か企んでる?」
怪しく笑う私を警戒した京平が目を細めて私を見る。
私は京平のコートの裾を掴みいつもよりワントーン高い声でお強請りした。
「あのグロス可愛くない?夕日欲しいなぁ」
キャバ嬢が太客のおじ様にブランド品をお強請りするのをイメージしながらそうお強請りすると、京平は噴き出した。
「何その言い方?頭悪そう」
「キャバ嬢イメージしたんだけど?」
「いやいやいや、キャバ嬢に失礼。もっと品よくお強請りするから」
まるでキャバ嬢にお強請りされた経験があるような言い方をする京平に私は疑いの目を向ける。
「何?何でそんな目で見るの?」
声を震わせ笑うのを我慢している京平は、私から顔を逸し店内をチラチラと見渡す。
わざとらしいその動作が余計に怪しい。
「まぁ、京平も22歳だし?大人だし?上司との付き合いでキャバクラの一回や二回は経験あるだろうし?なんならアフターとかも経験お有りな感じだし?本物のキャバ嬢のお強請りくらい見たことあるんだろうねーきっと」
嫌味ったらしく早口で滑舌良くそう言い京平のコートの袖から手を離した。
私の知らないところで綺麗なキャバ嬢とアフターしたのかと想像したら物凄くムカついてきて、私はカツカツとハイヒールのヒールを床に叩きつける様に早歩きをした。