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魔法使いの誤算
第2章 /2
ヤキモチを焼いたなんて、恥ずかしくて言えなかった。
だからその質問には答えず無視をした。
けど、その反応は京平の質問を肯定しているのと同じだ。
「はぁあああぁああ……」
深く長い溜息をつき、顔を両手で隠す京平の姿に今度は私が心配になった。
「え?なに?怒った?」
せっかくのデートなのに大人気なく不貞腐れて雰囲気を悪くした私に呆れてしまったのだろうか?
それとも勝手な想像でキレる私を面倒臭く思ったのか?
調子に乗りすぎたと焦り出した私は、顔を隠したまま動かなくなった京平の肩を揺さぶった。
「ごめん京平。京平?京平君?ごめんね?もう怒ってないよ私?京平?」
立場が逆転した私と京平。
私はあわあわと焦りながら京平の名前を連呼し謝った。
京平はゆっくりと両手を顔から離し、私を見つめてしみじみと言った。
「本当に可愛いね」
「へ?」
予想外の褒め言葉に頭が処理出来ず情けない声が出た。
「勝手に想像してヤキモチ焼くとか、キュン死にさせる気ですか?可愛いですね?もはや尊い。存在が罪。可愛い」
少女漫画のヒーローでも言わないような超絶甘い褒め言葉をこれでもかと言うくらい私に浴びせ愛でる京平に、私は顔を赤くしてタジタジになる。
こんなにリアクションし辛い褒め言葉の受け返しなんてハイレベル過ぎて私には出来なかった。
恥ずかしさと照れで京平を直視出来ずにいると、ムギュッとほっぺたを挟まれたこ口にされた。
「俺が夕日以外の女に興味ある訳ないじゃん。夕日以外は全員ただの二足歩行動物にしか見えてないから俺」
極端な例えに私は圧巻され、なぜか頷いた。
「もう機嫌は直った?」
京平に機嫌を伺われ、熱が冷めて冷静になった私は二回頷いた。
機嫌が直った事を確認した京平は私の頭をいつものように優しく撫でて笑った。
「良かった機嫌直って。じゃあお目当ての場所に行こうか」
「うん。行く」
「……その前にちょっとトイレ行ってくるね。夕日先にお目当ての香水のとこ行ってて」