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魔法使いの誤算
第1章 /1
12月後半だと言うのに体が熱くて仕方なかった。
告白するまでは店内の温度が丁度良かったのに、今はほんのり背中に汗が滲んでいる。
手で煽ぎながら顔の熱を下げようとしたが、そんな弱風で熱が下がる訳もなく体温は上昇していくばかりで具合が悪くなりそうだった。
「大丈夫?顔真っ赤だけど」
心配する京平に誰のせいだと思ってんだ!!と心の中で文句をつけながら、『平気平気』と強がって見せた。
そんな私に京平はコーヒーにポーションを入れながら言った。
「夕日の事、ずっと好きだった」
真っ白なポーションがコーヒーカップの中に消えていく。
私はスプーンでクルクルとコーヒーとポーションを掻き混ぜる京平を見つめた。
真っ白な肌に緩くパーマ掛かった髪。
奥二重に真っ黒な瞳。
綺麗な輪郭。
綺麗な顔をしていると、染み染み思った。
6才の頃から今までずっと一緒で、常に京平が隣りに居た。
私も京平の事はずっと好きだった。
けどその好きは幼馴染みとしての好きのはずだった。
その好きがいつ男としての好きに形を変えたのかはハッキリとしない。
グラデーションの様にゆっくりと変わっていったのだと思う。
「だから嬉しいよ、夕日と両想いになれて」
『両想い』と京平に言われて変な感じがした。
むず痒いような、照れ臭いような、そんな感じ。
「夕日も嬉しいよね?」
同意を求めるその言葉が耳に入った瞬間、一瞬だけ頭がもわんとした。
例えるならば満腹後にくる睡魔のような感覚で、瞼も少し重くなった。
そしてどうしようもないくらいの愛おしさが沸き上がってきた。
家族に対して抱く愛おしさとはまた違うその強烈な感情に私は頷いた。