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魔法使いの誤算
第1章 /1
「俺達今日から恋人だね」
満足そうに笑いながら京平はコーヒーを飲んでいた。
その姿を見つめながら心が満たされていくのを感じた。
幼馴染みから恋人に変わったこの関係に喜びが溢れる。
私は今日から京平の彼女なのだ、と。
横目にチラッと白い物が見えて窓の外に視線を移すと、雪が夜空からパラパラと降り落ちアスファルトに溶けていた。
ロマンチックなサプライズに私の顔から自然と笑みがこぼれてしまう。
「初雪だね」
「そうだね」
パラパラと降る雪を二人で眺めていたらクリスマスイブは終わっていた。
そして恋人になって初めてのクリスマスを迎えた。
「これが京平との馴れ初め」
職場の同期である玲香とのランチ中、私と京平の馴れ初めを聞かれた私は記憶を辿りながら玲香に話した。
私達の馴れ初めを一通り聞いた玲香は羨ましそうな顔をしていた。
「なにそのドラマみたいな話し。羨ましい」
最近出来たオシャレなイタリアンレストランのオシャレなお皿に盛り付けられたトマトクリームパスタをフォークで巻きながら、素直な感想を述べた玲香。
私はその素直な感想に顔を緩ませた。
周りから羨ましがられるのは正直気分が良くなる。
しかも付け加えで、
「おまけに彼氏もイケメンって、羨まし過ぎて逆にムカつくわ」
なんて言われたら尚更気分が良くなる。
パンプレートの中から私はミニクロワッサンを選び、一口噛んだ。
サクッとクロワッサンの皮が香ばしい音をたてて、口の中にバターの甘い味が広がった。
ミルクティーによく合いそうな仄かな甘みが気に入った。