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魔法使いの誤算
第3章 /3
密かにバイトの山寺さんを狙っている加島さんは羨ましそうにそう叫び、資料を読んでいる俺の肩を軽くパンチした。
俺は資料から目を離さず『はいはい』と笑いながら仕事の邪魔をする加島さんの叫びを流した。
そんな俺の態度に『ムカつく』と文句をつけ、資料を取り上げた加島さん。
本格的に仕事の邪魔をしてきた加島さんに俺は目を細め溜息をついた。
「それが先輩に対する態度か?ええ!?」
「それが後輩に見せる仕事態度ですか?ん?」
俺の言葉にグーの音も出せない加島さんは『可愛げねーやつ』と舌打ちをし、椅子の背もたれに寄りかかり奪った資料を読み始めた。
自分の仕事も終わっていないくせに、後輩の俺の仕事に手を出す加島さんの手から素早く資料を奪い返した。
「俺の仕事はいいから自分の仕事して下さいよ。川西さんがウィンドウ付近の什器を貸してほしいって言ってましたよね?早く売り場替えして川西さんに什器貸してあげて下さいよ」
昨日衣類担当の川西さんから雑貨で使っている什器を貸してほしいと言われていた加島さんだが、未だに什器を倉庫に引き下げていないので早く什器を引き下げるよう催促した。
後輩の俺に急かされ仕事しろと注意を受けた加島さんは『生意気なやつめ』とブツブツ文句を言いながら席を立ち、什器を引き下げに事務所から出て行った。
俺は資料と一緒に渡された商品のサンプルを手に取り、使用してみた。
俺が勤める会社は大手輸入品雑貨店で、主に海外からの輸入品を取り扱い販売している。
その中で俺が担当しているは化粧品だ。
ちなみに化粧品の担当は俺と女性社員の卯月さんとで担当している。
男の俺が化粧品を担当している理由は本社のお偉いさんに、
『君は女性ウケしそうだから化粧品を担当しなさい』
と命令されたからだ。
特に嫌でもなかったので断らなかったし、そもそも断れないので素直に命令に応じ化粧品の担当に就いた。
ちなみに加島さんは玩具と雑貨担当で、この店で一番広く売り場を使っているが一番やる気のない人だから売り場がよく荒れている。