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魔法使いの誤算
第1章 /1
こんな優しくて格好いい京平を好きにならない訳がない。
私が京平を好きになる事は当然の事だった。
グラデーションの様にゆっくりと、じんわりと頭の中が京平でいっぱいになったのも、京平にだけうるさく反応する心臓も、こんなにも京平が愛しいのも、当然の事なのだ。
だってこの世のどこを探しても見つからない。
「ご飯もうそろそろ出来るから待っててね。今日は夕日の好きなチンジャオロースだよ。あとたくあん」
こんなにも愛してくれる優しい男は。
「愛してるよ京平」
愛しい気持ちが溢れ出して、料理の続きに戻ろうとしていた京平を引き止めて抱きついた。
そんなに身長の高くない京平は無理に背伸びをしなくても抱きつけるから、抱き着きやすい。
私に抱き着かれた京平はハハハと嬉しそうな笑い声をあげながら2年前のクリスマスイブの時と同じく、『俺も』と言って同意をした。
そして優しく私を引き離すと、おでこにキスをした。
おでこの次は右瞼に。
右瞼の次は鼻先に。
鼻先の次はーーー唇に。
上唇を挟むように啄みながら、濡れた舌を唇を割って入れてくる。
蛇の様ににゅるりと口内に入ってきた京平の舌を私も舌で迎え入れると、水飴を練るような音がキッチンに響く。
息がしたくて唇を少し離し京平を見ると、いつもより鋭くなった目で私を見つめる京平がいた。
唇を私の首筋に移動し甘噛みをしながら舐める京平に、火が止まったコンロの上に放置されているフライパンを見ながら聞く。
「ご飯、そろそろ出来るんでしょ?」
この場で私を抱こうとしている京平にそう言って中断させようとしたが、スイッチが入ってしまった京平は持っていた菜箸をシンクの中に置き、私のコートを脱がし始めた。