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自由という欠落
第9章 仕掛けのない平凡
自身の臆病を棚に上げて、Nは名前も記憶していない子供に、勇気の欠如を指摘した。それから行動をとるにあたっての、首尾のまずさも。
五人の童貞が顔をつき合わせていた。Nも数に含めたとすれば、六人だ。
「お前達の目的は、肉体間の交わりだろう。いやらしいことだろう。心当たりのある女はいないのか、一人も。一人で良い、呼べ」
「それじゃあ、四人も外野になる。美味い思いが出来るのは、俺達の内、たった一人になるじゃないですか」
「だからお前達には勇気がないんだ。頭も鈍い。女一人いれば、お前達の逸物をぶっ込めるホールは十分だ。黙って俺に従いなさい」
少年達が手配したのは、ぱっとしない少女だった。未熟な肉体は貧相で、胸が隠れる長さにまで伸ばした黒髪と言い、嫌味なまでに学生の模範を象徴している特徴を備えた少女は、化粧もリップとマスカラくらいだ。少年らの肉棒を傷めない程度にまでほぐすには、どれだけの手間がかかるだろう、Nは気が遠くなる思いがした。
少女の気立てが良かったのだけは覚えている。ただし少年の部屋の扉の鍵が音を立てた途端、化けの皮は剥がれた。
「貴方は誰です!私は従兄弟の彼が相談に乗って欲しいと言うから来たのに……、友達がいらっしゃるなんて聞いていない」
少女は、なかんずくNを睨み上げた。真面目を絵に描いた顔かたちの、つまらない女の反抗だった。
少年達は、Nが出しておいた指示に倣って、少女の手首を寝台の柱に覊束した。開いた両腕を縄が固定すると、一同は、正鵠の顔が非難と恐怖に歪む様を観賞しながら、ゆっくりと脱衣させていく。パンティを下ろして、ブラジャーが残ったところで手間取った。手首が柱に縛りつけてあるのでは、ホックを外して乳房をたぷんと外に出しても、完全に取り除けない。Nは部屋の主に鋏を借りて、肩紐やカップに刃を入れた。