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自由という欠落
第3章 選べない貴女
閑話休題、まひるは陽子の疾苦を聞くためにわざわざ出向いた。もとより陽子は、まひるが少しくらい苦い境遇に置かれた方が気味良いはずだ。彼女はまひるを恨んでいる。愛人として愛してくれても、一個人としては憎悪の他にないだろう。
「お話、聞きます。オリエンテーションなんでしたっけ。また年配の皆さんにいじめられたんですか」
頰にかかった黒髪をとかして、目と目の距離を近づける。まひるは、さっき陽子がそうしたように、彼女の手の甲に指を這わす。きめ細やかな皮膚の下には、扇情的な薄肉が覆っている。
「ん……」
吸い寄せられるようにキスをした。
後腐れのない肉体関係。他の女達が簡単にくれたものを陽子だけはくれなかったが、この後腐れがちょうど良い。
ちゅ、……
唇を撫でてこじ開けて、今にも舌を入れたくなる。必要とされたいのであれば、と、陽子の弱みにつけ込んで、衣服を滅茶苦茶に引き裂きたくなる。女の象徴を揉みしだいて、啄んで、吸い上げて、やがて彼女が高らかな悲鳴を上げるまで、濡れた肉襞の小径を貫きたくなる。
「我慢出来ない……」
「まひるちゃん……」
「甘やかしてあげます。だから、話、聞かせて……」
「んっふ」
陽子の唇に自分の唇を重ねただけで、脳が痺れる。衣服越しに乳房に力を加えただけで、指がとろける。
まひるは陽子をまさぐりながら、脚を絡めた。はだけたロングスカートから伸びた脚はぞっとするほどなめらかで、膝を伝って腰の奥まで余波を広げた。
触れては離れて、離れては触れる吐息と吐息の釁隙を縫って、陽子が切なげな声をこぼす。陽子は切れ切れの声に頼りながら、安定した将来を望んだ結果、すこぶる不安定な自身を嘲笑った話を続ける。