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人工快楽
第1章 香苗と真央
 これは以前にお母様を犯しに来ていた男の性癖による影響だろう。

 彼はお母様の眼球を舐めるのが好きだった。

 他の器官と異なり、剥き出しの眼球は初めて外気に触れた時に空気の流れにも反応してしまうような敏感な男性器の亀頭にも似て、外部からの感覚に対して全く無防備だった。

 ぬめぬめと唾液を滴らせた舌で眼球を愛撫する。

 本来なら舐められることはないであろう部位を舐められて得た未知の快楽は、瞬く間にお母様を虜にした。

 眼球をざらついた生暖かい舌が這いまわると、脳髄がとろけるような感覚が頭の芯を痺れさせる。

 わたしも赤ちゃんの頃からお母様に眼球を舐めてもらっていたから、眼球を舐められることは気持ち良いと知っていたし、それが呼び起こす陶酔感覚でエクスタシーに達することが出来ることも身体で知っている。

 そして、眼球が快楽機関のひとつであることを知ったお母様は、眼球自慰という快楽に行きついた。

 指を唾液で愛液でねっとりとコーティングして、指の腹で眼球の表面をヌルヌルと愛撫する。

 そうやっていると脳味噌が痺れてとろけ出しそうな感覚に包まれる。

 この感覚がよほど気に入ったのか、お母様はおまんこの自慰とは違い、決して力を入れて乱暴に扱ったりはしなかった。

 ゆっくりとゆっくりと、じわじわとざらついた小波が脳味噌に押し寄せる快感に酔う。

 やがて眼球の表面を撫でていた人差し指を、親指と共に左目の両脇から眼底に挿入し、ピンポン球を転がすように眼球自体を弄り始めた。

 これは、痛覚が快楽感覚にしかならないお母様にとって、被虐の果てに行きついた最狂の快楽だった。

 片手で眼球、片手でおまんこ。

 脳と子宮でイキ続けながら恍惚に呆けた表情をして、目とおまんこに指を突っ込んで自慰を繰り返す。

 霧島祐介は浮き上がり剥き出しにさらされた左眼の眼球の瞳と目があった時、本物の狂気に触れて心の底からお母様に恐怖した。
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