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人工快楽
第1章 香苗と真央
 この夜のことは、よく覚えている。

わたしの14歳の誕生日だった。

 霧島祐介はひたすら絶叫し続け、嘔吐し、失禁し、脱糞し、部屋中の壁に頭や身体を自ら打ちつけてのた打ち回り、ついには一晩で髪の毛が白髪になって半分以上がが抜け落ちてしまった。

 お母様と出会う以前も散々女たちを慰みものにして壊してきて、物心つかない実の娘さえも犯し抜いた男が、作り物や紛い物ではない正真正銘の本物の狂気を前にして怖じ気づき、恐怖に全身を犯されながら床を転げ回り戦慄から逃れようと足掻いている。

 その様子を見ながら、お母様は声を上げて心底楽しそうに馬鹿笑いをしながら眼球とおまんこを弄り続けて、何度も何度も絶頂を繰り返していた。

 狂乱極まった興奮に取りつかれたお母様は、とても美しく、わたしもまたその興奮に飲み込まれてゆく。

 わたしもお母様が喜んでくれるのが嬉しくて、何度も眼球自慰を繰り返し続けるお母様のおまんこや肛門をひたすら犯し続けた。

 わたしはお母様と絡み合いながら、悶絶する霧島祐介を見下して言った。

「あなたにはお母様を理解出来ない。そのまま馬鹿みたいに狂っちゃえばいいのに」

 次の日の明け方、わたしとお母様が絶頂を繰り返した末に気を失って眠りに落ちている間に、無様にも発狂しきることができないばかりか、僅かばかりに正気を維持した霧島祐介が弱々しく救急車と弁護士を手配した。

 それは、自らの救助要請と共に狂いきったお母様とわたしを自分から遠ざけて病院に隔離する為に。

 霧島祐介は逃げたのだ。自らが望んで得た佳苗という狂気から。

 自らが望んで演じたサディストじみた配役から。

 自らが望んで得た舞台から。

 なんて、惨めで無様なのだろう。

 所詮、霧島祐介にあったものは嗜好と性癖としての加虐性で、ただの変態趣味なだけ。

 お母様の事も、ペットや性奴隷という己の変態趣味に付き合える同志としての側面しか見ていなかった。

 何もわかってなかった。

 お母様は本物だ。

 趣味とか嗜好とか性癖とかそんなものではない。

 『生』自体が『性』そのものの人。

 それはごくごく自然なこと。

 断言してもいい。

 お母様ならモルヒネや阿片に頼らなくても、身体を切断する痛みですら絶頂に達する為の快楽行為にしかならない。
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