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道化師は啼かない
第4章 錯覚と残り香
「なに? 禁句でも言っちゃった、オレ?」
「貴方が快楽殺人者ということは十分わかりました。同時に僕が最も嫌悪する人種だということもね。これ以上迷惑を重ねるつもりなら今すぐここで仕事を見せてあげる。観客も主役も貴方で良ければ」
 ザリ。
 コンクリートの地面を擦る音。
 直輝が足の向きを変えた。
 逃げる?
 そんなはずない。
 腰を低くして、ずっと真っ直ぐこっちを見ているんだから。
 喫茶店にいた時とは十℃くらい温度を変えた眼で。
「……教えてあげる。オレの対象」
 ハルはその視線を受け止めて微笑んだ。
 言ってみろ。
 クズが。
 そんな殺気を漂わせて。
「あんたくらいの青年。首を絞めて綺麗なまま。その死体とヤるのがすっげえ気持ち良くてね。ああでも」
 血管の浮かんだ米神に指でピストルを作って当てる。
「蕗とかいうガキも楽しそうだよな」
 ハルは殴ろうとした手を抑え込んだ。
 額から汗がにじんでいる。
 酸素が脳に回らない。
 暑さが邪魔をする。
 なんて言った。
 この男。
 直輝が唇の動きだけでバーンと呟き、撃つふりをする。
 なんで、蕗の名前が。
「質問に答えたから今度はオレからクイズ。なんでオレはあの胡桃って女の店を知っているんでしょうか? 十秒以内に正解したら、あのクソガキを返してあげるかもねー」
 昨日会話をしてから蕗は見ていないが。
 会わない日の方が多い。
 気にも留めていなかった。
「しかしあんたもガキも悪趣味だよな。殺す前に散々犯すんだから。しかもあのガキ、対象がおっさんだっつーんだから驚きだっての。父親に恨みでもあんのかね」
「それも蕗から聞いたの?」
「今のは勘。でも合ってんだ。変態だな」
 五月蠅いな。
 この男。
 死ねばいいのに。
 じゃあ、さっさとやれよ。
 首筋を舐める声。
 お前も煩い。
 鬱陶しい。
 僕に決めさせろ。
 どうせこの男はいつか殺す。
 そうだろ。
 だったら今でもいいじゃないか。
 いいのか。
 肝心の姉との再会を邪魔されても。
 いや、もっと悪い事態になり兼ねない。
 この外道男に先にやられたらどうする。
 黙れ。
 考えてるんだ。
 無駄だって。
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