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道化師は啼かない
第5章 邪な嘘
 雨が跳ねる。
 床で弾ける。
 完全な球体を少しだけ歪めた雫たちがパチパチと。
「……少し残念ですがね」
「え?」
 ハルは微笑を浮かべて濡れた前髪を耳の方に撫でて整える。
 黒髪に滲んだ雨は首筋を流れ、黒いスーツを更に黒く染めた。
「雨のせいで血が薄まるから……あんまり綺麗じゃない。乾いたコンクリートに頭蓋骨の割れ目から流れた大量の血が広まるのは本当に鮮やかですから。人目も引く。死体処理は地域の公安がすぐに済ませてくれますから、楽でいいですし。まあ、折角の綺麗な姿態が早々に回収されるのは勿体無いですけど」
 カツカツ。
 美津希に近寄る。
 その髪先が雫を垂らして頭をもたげるのを眺めながら。
 美津希はそろそろと後ろに下がった。
 パシャン。
 水溜まりに手を突いて。
 まだ斑な模様の屋上に黒い手形を残し。
「飛び降り自殺はいや」
「それはまたどうしてですか」
 ハルの行動の意図を察した彼女が目を見開く。
「見たことあるの。昔、この街で」
 珍しくもない。
 一日に百人を越える国民がこの国では自分で命を絶っているのだから。
「あんな姿にはなりたくない」
「殺し屋に依頼した時点でどんな殺され方になろうと選択肢なんてないでしょ」
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