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道化師は啼かない
第7章 人形はどちら
 閑静な住宅街で青年三人が笑いあう。
 これも非日常だ。
 狂ってる。
 ハルは青空を見上げて目を細めた。
「こんな日にこそさ……」
 悲痛な願いの籠った呟きは天に届くことはない。

 仕事場の半径五キロ以内に入るということで蕗は珍しくあっさり去って行った。
 去り際に直樹の背中に回し蹴りを食らわしてから。
 見事に飛ばされた直樹は心底悔しそうに蕗の後ろ姿に怒鳴りつけたが、きっと聞こえてなかっただろう。
 しかし異様だよ。
 つい先日殺しあいかけていた二人が和気あいあいと喋ってたんだから。
 いや、和気あいあいとまではいかないか。
 きゃっきゃうふふ?
 ハルが首を傾げていると、息を切らした直樹が肩に寄りかかってきた。
「なに?」
「あんのクソガキ……と、よく長く付き合ってられんな」
「蕗は物分りいいよ。少なくとも勝手に他人の家に上がりこむような迷惑な奴よりは話が通じる」
 まあ、ターゲットの家には無断で上がりまくってるけどね。
「くそ。むかつく」
「……ガキ」
「ああ!?」
 低音で零した毒を聞き取った直樹がそのまま首を肘で絞めにかかるが、慣れているハルはただ足を踏み出すだけでそれを振りほどいた。
 今度はぐいっと肩を引かれた。
 これ以上服を乱されると困るんだけど。
 そう思いながら振り向いたハルの唇に直樹のが重なった。
 流石に数瞬固まってしまった。
 ゆっくりと目を伏せる。
 直樹はハルの細い顎を掴んで緩く空いた口に舌を差し込みかけて、苛立たしそうに離れた。
 ハルは濡れた唇を親指で拭いながら微笑む。
「対象内なんじゃないんですか?」
「人形相手みたいで面白くねえんだよ……お前ってなにやったら動じんの?」
 ずいぶん簡単に動じるよ。
 姉を浮かべながら首を振る。
「……マスターに色々教わったからね。お前程度の野郎が何しても感じもしないよ」
 今までの無関心から自分に向いた意識に直樹はぞくぞくと鳥肌立つのを感じた。
 この紫の瞳は心臓に悪い。
「そのマスターってあのフード男か。こんな美少年捕まえてなにやってんだ」
「お前がよく言うよ」
「今夜ほんっとに何しても無駄か試させてもらうかんな」
「好きにすれば」
 ハルはもう振り返らなかった。
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