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道化師は啼かない
第7章 人形はどちら
 脳の許容を超えた事象に遭遇すると人は動きを止める。
 身体に脳が指令を出せないのだと。
 どこかで聞いた。
 私は壁に縋りつきながら確かにそうだと感じていた。
 めくちゃんが別人になってから、ぽろぽろと涙が頬を伝い続けている。
 ふらついた後に身を起こした彼女を見て、思い知った。
 死んだんだ。
 めくちゃんは、死んだんだ。
 身体を完全に奪われて。
 私が激しく道化を憎んだあのときとは程度が違う。
 もう声を発することもできない心の奥底に葬られたんだ。
 そんな恐ろしいことをする人格がそこにある。
 カタカタと足が震えている。
 けど、私だけじゃない。
 道化もずっと恐怖に怯えていた。
 まるで、たった今この世に形を得たあの女がトラウマだというように。
 ねえ。
 誰なの。
 あれ。
 答えてよ。
 ねえ。
 道化。
 ううん。
 久谷マキ。
 答えてよ。
 なんでも受け止めるから。
 教えて。
 一体貴方達姉弟の八年間は何が起こっているの。
 死後ずっと弟を探して憑いて回るのはなぜなの。
 あの女も道化なの。
 仲間なの。
 ハルの知り合いなの。
 それとも貴方の分身?
 ねえ。 
 わからないよ。
 答えを教えて。
 答えを。
 このままじゃ恐ろしいことが起こる気がしてならないのよ。
 それを止めに私たちは来たんじゃないの。
 ほら。
 今触れている私の首は確かに脈打っているでしょ。
 貴方は今私の中で生きている。
 怖がらないで。
 お願い。
 出てきて。
 この身体を、貸してあげるから。
 この状況をどうか私にわかるように行動して。
 涙が止まる。
 震えも一緒に。
 呼吸のリズムが変わった。
 目を閉じて、そっと開くともう、私はマキになっていた。

「ありがと。麗奈」
 いいよ。
 出来たら死なないでって条件つけるけど。
「あたしは絶対あんたを殺さないし、殺させない。だってこれこそが、八年間待っていたチャンスだもの。もう逃げない。あの人から、逃げて堪るものか。死んでまで……苦しめられ続けられるのはもう終わり」
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