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S級有害図書
第7章 「高橋茉莉の場合」
 結局、その後どうなったかというと、修学旅行は即刻中止。バスケ部は期限なしの活動停止。事件そのものは公表されることはなかったが隠しきれる物でもなく、茉莉がバスケ部の三年に集団輪姦されたという噂は、学校中の周知の事実となった。結果、茉莉は転校を余儀なくされ、茉莉の家族はこの街を出て行った。それ以降、俺は茉莉と連絡が取れず、三年半の月日が経った。

 俺はこの春、東京の大学へ進学を決めた。都心部から少し離れた所に部屋を借り、一人暮らしを始めたのだ。近くの大きな街のカフェでバイトしながら、大学生活が幕を開けた。そのバイト先で驚くべき出会いがあった。
 高橋茉莉。ずっと探していた茉莉は、東京にいた・・・。客として店に来た茉莉は、俺の顔をみて逃げ出した。俺はバイトを放り出して追った。河川敷の土手でやっと茉莉を捕まえる。

「逃げないで、聞いてくれっ」
「・・・だって」
「ずっと探してたんだ。ずっとお前のこと、探してたんだ」
「本当に?」
「ああっ、許してくれるのなら、俺はお前とやり直したいっ」
「高校行って、他の女の子と仲良くしたりしてない?」
「ああっ」
「あんな事があっても、まだ私のこと好きでいてくれるの?」
「あたりまえだっ」
「・・・」

瞳に涙を一杯に溜めて、茉莉が俺に抱きついてくる。俺は力一杯、茉莉を抱きしめた。
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