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地味子が官能小説を書いたら
第12章 プロローグ
私も、弁岳に向かって手を振った。

(ありがとう……小机君……)

私は、改札へ向けて走った。

改札を抜け、東京方面のホームを目指す。

帰宅時の混雑の中、人を縫うように走った。

ホームへ下りる階段、ホームから『まもなくドアが閉まります、これ以降のご乗車はおやめください』アナウンスが流れる。

(ごめんなさい!)

私は閉まりかけたドアに滑り込んだ。


肩で息をする私を叱るかのように、車内にアナウンスが流れる。

『駆け込み乗車は大変危険ですのでおやめください』

(ごめんなさい! 今日だけ、もうしません)心の中で謝る。


さて、何も考えずに電車に乗ったけど、どうしよう?

今更ながら、後先考えずに行動したことを悔やむが、もう、気持ちは抑えきれなかった。


(そうだ!)

私はスマホを取り出し、文剛の小説のコメント欄にコメントを残した。

『花梨は健吾の気持ちに気づいて、健吾に会いたがっているとします、小説なら、どうなりますか?』

(気づいて、お願い……)

暫くすると、返事のコメントが返ってきた。

『健吾は、初めて二人で待ち合わせた駅で、花梨の事を待ちます、花梨が来てくれることを信じて』

また、私はコメントする。

『花梨は駅へ向かいます。そして健吾の胸に飛び込んできます。健吾は花梨に何と声をかけますか?』

また、返事のコメントが返ってくる。

『花梨ちゃん、好きだよ と告白します』


ブルブルっと、唇が震える。



電車が駅に停まる度に、あといくつ、あといくつ、を繰り返す。

はやく、文剛に会いたい。



お願い、電車。


早く吉祥寺に着いて……


ーー電車が吉祥寺駅に着く。

ゆっくりとゆっくりと、止まる。

じれったい、足踏みしながらドアが開くのを待ち、ドアが開いた瞬に、私は飛び出した。


(ごめんなさい、もう絶対にしませんから)


心の中で誤りながら、人の波をかき分ける。運動不足の身体が悲鳴を上げるが構わない。


階段を駆け下り、一目散に南口を目指すと、改札の向こうの人ごみに、頭一つ抜けた文剛が立っている。


(文剛君)


(文剛君)




「文剛君!」


改札を抜け、文剛の胸に飛び込んだ。




ドスン、と音がする。


「イタ~、花音ちゃんのタックル強すぎ 笑」

「おかえり」

「ただいま」




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