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地味子が官能小説を書いたら
第1章 放課後の図書館
---------- 【序】秘密のバイト② ----------
紗栄子が渋谷で友達と買い物をし、お酒を飲んだ後、カラオケで騒いでアパートに帰り着いたのは深夜だった。
地方の田舎町から上京し、東京の私大に通う紗栄子は、完全に生活が乱れていた。
学校が終わると、バイトの日以外は友達と繁華街に繰り出し終電近くまで遊ぶ。
恋人がいたときは、恋人の家に泊まったり、自分の家に恋人を泊めたり、そして夜更けまでセックスに没頭した。
大学は、必要な科目だけ出席をして、定期試験は先輩学生から受け継がれた回答方法を踏襲するだけで単位は取れる。
そこそこ一流と言われる大学でも、殆どの学生がそうやってロクに勉強もせずに4年間を過ごし、就職していく。
(だったら、楽しまないと損だわ)と、紗栄子は思っていた。
ところが……
(まずい!今月、まだ半月以上残っているのに、通帳残高は、1800円しかない!)
まだ月を半分以上残して、生活費が枯渇していたのだ。
(先月から今月にかけて、ちょっと遊びすぎたかな)
アルバイトはしているものの、東京で少しでもオシャレをしたり、友達と遊びに行くとなると、あっという間に諭吉さんがいなくなってしまう。
(もっとお金が欲しいな~)と、願ったところで、何とかなるはずもなく、今月は、月の残りを一日一食で過ごすしかない。
(友達に遊びに誘われたらどうしよう?)
(お昼を食べない言い訳は、ダイエットという事にするか)
考えることは、悲惨な覚悟ばかりだ。
神様は不公平だと紗栄子は呪った。だって、東京で生まれ育った人間と地方から上京してきた人間とでは、スタートラインで大きく差があるのだから。
なぜ自分は地方の田舎町に生まれてきたのだろう、考えても仕方ない事を繰り返していた。
とにかく、上着を脱いでハンガーにかける。その時、ポケットの中を確認していると、厚手の紙きれが指に引っかかった。
(あ、あの怪しいオジサンがくれた名刺だ)
改めて、名刺を確認してみると、パソコンで作ったんじゃないかと思うくらい安っぽい。
(誰が、こんな事務所に行くかよwww)
名刺を手裏剣のように部屋の片隅めがけて放った。