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地味子が官能小説を書いたら
第1章 放課後の図書館

---------- 【序】秘密のバイト③ ----------

(あ~~、腹減った~~)

悲壮な覚悟は3日ともたなかった。

一日一食、スーパーで買ったカップ麺で過ごしているが、とても今月を乗り切れる気がしない。

(パパ活でもするか、でも、リスクありそうだしな……)

最近、パパ活サイトで騙されて搾取されたというニュースをよく見かける。リスクが大きい割に、どれほどのメリットがあるか疑問であった。


学校が終わって、家に帰っても何かすることがある訳でもない、紗栄子は暇を弄んでいた。


ベッドに横たわり、スマホを弄りながら時間が経つのを待つが、何もしていないときの時間の遅さと言ったら、カメの比ではない。



(このままじゃ餓死してしまう。あのオジサンに電話してみるか……)

電話だけ、話だけ、それなら危険はないし、もしかしたら美味しいバイトなのかもしれない。

紗栄子は先日投げ捨てた名刺を拾い、番号を入力した。



「お電話ありがとうございます、立花企画代表、立花謙佑でございます」

(げ、何このへんな電話の受け方、宗教か何か?)

紗栄子はこのまま電話を切ろうかと思ったが、何とか堪えて応答した。

「あの、わたし、先日渋谷で声をかけていただいたものですが」

「あー、もしかして、ハチ公広場にいた可愛いお嬢ちゃん?」

「あ、多分そうです。あの……バイトでも良いと言われたので、お話だけでも伺おうかと思って電話したのですが……」


「ちょっと待ってね、電話代がかかるから、こちらからかけなおしますすから」

「あ、非通知でかけてるね、悪いけど、一旦切るから、通知にしてワン切りしてくれる?」

電話番号を知られるのは抵抗があったが、住所を知られるわけではない。紗栄子は、言われるままワン切りした。


「あ、連絡ありがとうね。バイトしたいんでしょ?面接だけでもおいでよ。交通費を5000円払うから」

(5000円!これで10日はランチが食べられる)


「本当に面接だけで良いんですか?」、逸る気持ちを抑えつつ、紗栄子は確認する。

「もちろんですよ、話を聞いて興味がなければ、そのまま帰っていただいても構いません」

「ただ、来ていただく以上、交通費はどんなに近くても5000円払いますよ」


もう、紗栄子は迷う必要はなかった。




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