この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
地味子が官能小説を書いたら
第1章 放課後の図書館
---------- 【序】秘密のバイト③ ----------
(あ~~、腹減った~~)
悲壮な覚悟は3日ともたなかった。
一日一食、スーパーで買ったカップ麺で過ごしているが、とても今月を乗り切れる気がしない。
(パパ活でもするか、でも、リスクありそうだしな……)
最近、パパ活サイトで騙されて搾取されたというニュースをよく見かける。リスクが大きい割に、どれほどのメリットがあるか疑問であった。
学校が終わって、家に帰っても何かすることがある訳でもない、紗栄子は暇を弄んでいた。
ベッドに横たわり、スマホを弄りながら時間が経つのを待つが、何もしていないときの時間の遅さと言ったら、カメの比ではない。
(このままじゃ餓死してしまう。あのオジサンに電話してみるか……)
電話だけ、話だけ、それなら危険はないし、もしかしたら美味しいバイトなのかもしれない。
紗栄子は先日投げ捨てた名刺を拾い、番号を入力した。
「お電話ありがとうございます、立花企画代表、立花謙佑でございます」
(げ、何このへんな電話の受け方、宗教か何か?)
紗栄子はこのまま電話を切ろうかと思ったが、何とか堪えて応答した。
「あの、わたし、先日渋谷で声をかけていただいたものですが」
「あー、もしかして、ハチ公広場にいた可愛いお嬢ちゃん?」
「あ、多分そうです。あの……バイトでも良いと言われたので、お話だけでも伺おうかと思って電話したのですが……」
「ちょっと待ってね、電話代がかかるから、こちらからかけなおしますすから」
「あ、非通知でかけてるね、悪いけど、一旦切るから、通知にしてワン切りしてくれる?」
電話番号を知られるのは抵抗があったが、住所を知られるわけではない。紗栄子は、言われるままワン切りした。
「あ、連絡ありがとうね。バイトしたいんでしょ?面接だけでもおいでよ。交通費を5000円払うから」
(5000円!これで10日はランチが食べられる)
「本当に面接だけで良いんですか?」、逸る気持ちを抑えつつ、紗栄子は確認する。
「もちろんですよ、話を聞いて興味がなければ、そのまま帰っていただいても構いません」
「ただ、来ていただく以上、交通費はどんなに近くても5000円払いますよ」
もう、紗栄子は迷う必要はなかった。