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地味子が官能小説を書いたら
第3章 片思い
恐る恐る、文剛を見る。
(あ、灰になってる。真っ白な灰に……)
「あ、あの、今のは……その、違うの」(一体、何が違うというのだ、花音)と自分でツッコミを入れる。
二人とも沈黙してしまって、気不味い時間が流れる。
状況を整理してみる。
文剛は、週末に自分の部屋で『一緒に作業しよう』と提案しただけだ、それなのに、私が斜め上に『付き合っているみたい』と変に意識するような発言をしてしまった。
(どう取り繕えばよいのだろう……)
「あの、」
「あの、」
二人同時に声を発する。
「あ、早川君から、どうぞ」
「あ、綾瀬さんから、どうぞ」
またもハモってしまったので、私は口を閉ざすことにする。
「あの……さっきの、その、なんだけど、もちろん小説が書き終えるまでの事であって、きっと綾瀬さんには他に好きな人がいるだろうし、僕だって……好きな人は……いる」
ズキン。分かってはいたけど、ハッキリと言われると胸の中に何かが芽生える。
(やっぱり、早川君には好きな人がいるんだ……)
「だけど、せっかく同じ目標ができたんだし、互助関係という事でどうかな?」
互助関係。
そうだ、最初から文剛はお互いに協力し合って作業を進めようと言っているのだ。
「さっきのは、『もし男の子と付き合ったら、こんなふうに週末を過ごすのかな~』って想像しただけなの、ほら、わたし男の子と付き合ったことなんてないから、小説の参考にしようと思ってたら、口から出ただけ」
「それに、わたし、好きな人なんていない」
「互助関係と言っても、わたしが甘えてばかりなんだけど、よろしくお願いします」
「あはは、そんなにかしこまらなくても」
なんとなく切り抜けたが、大事故になる所だったと胸を下ろす。
「あ、でも、一つ心配が……」
「なに?」
「早川君の好きな人に、わたしがここに入り浸ってるの知れたら、誤解されないかな?」
「う、それは……」
また何かまずい事を言ってしまったのだろうか?文剛が言葉に詰まる。
「いいんだ……片思いだから……」
「そっか、だったら、わたしが手伝うよ、その子と仲良くなれるように」
ズキン。まただ、胸の奥に何かが芽生える。
「ありがとう、でも、今は小説を書きあげることに専念しよう」
”ピンポ~ン”、呼び出しのベルが鳴った。
(あ、灰になってる。真っ白な灰に……)
「あ、あの、今のは……その、違うの」(一体、何が違うというのだ、花音)と自分でツッコミを入れる。
二人とも沈黙してしまって、気不味い時間が流れる。
状況を整理してみる。
文剛は、週末に自分の部屋で『一緒に作業しよう』と提案しただけだ、それなのに、私が斜め上に『付き合っているみたい』と変に意識するような発言をしてしまった。
(どう取り繕えばよいのだろう……)
「あの、」
「あの、」
二人同時に声を発する。
「あ、早川君から、どうぞ」
「あ、綾瀬さんから、どうぞ」
またもハモってしまったので、私は口を閉ざすことにする。
「あの……さっきの、その、なんだけど、もちろん小説が書き終えるまでの事であって、きっと綾瀬さんには他に好きな人がいるだろうし、僕だって……好きな人は……いる」
ズキン。分かってはいたけど、ハッキリと言われると胸の中に何かが芽生える。
(やっぱり、早川君には好きな人がいるんだ……)
「だけど、せっかく同じ目標ができたんだし、互助関係という事でどうかな?」
互助関係。
そうだ、最初から文剛はお互いに協力し合って作業を進めようと言っているのだ。
「さっきのは、『もし男の子と付き合ったら、こんなふうに週末を過ごすのかな~』って想像しただけなの、ほら、わたし男の子と付き合ったことなんてないから、小説の参考にしようと思ってたら、口から出ただけ」
「それに、わたし、好きな人なんていない」
「互助関係と言っても、わたしが甘えてばかりなんだけど、よろしくお願いします」
「あはは、そんなにかしこまらなくても」
なんとなく切り抜けたが、大事故になる所だったと胸を下ろす。
「あ、でも、一つ心配が……」
「なに?」
「早川君の好きな人に、わたしがここに入り浸ってるの知れたら、誤解されないかな?」
「う、それは……」
また何かまずい事を言ってしまったのだろうか?文剛が言葉に詰まる。
「いいんだ……片思いだから……」
「そっか、だったら、わたしが手伝うよ、その子と仲良くなれるように」
ズキン。まただ、胸の奥に何かが芽生える。
「ありがとう、でも、今は小説を書きあげることに専念しよう」
”ピンポ~ン”、呼び出しのベルが鳴った。