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地味子が官能小説を書いたら
第3章 片思い

ピピピピ……


目覚まし音が鳴り響く。カーテンの隙間から陽の光が差し込む。

私は、スマホの画面をタップし、アラームを止めた。画面に大きく”06:00”と表示される。

昨夜、何度も身もだえして良く眠れなかった。何度思い返しても恥ずかしい。


でも、土曜日は来てしまった。それに、すっかり楽しみにしている自分がいる。

先週、宅配のピザが届いた時、私は代金の半分を払おうとしたのだが、既に注文時にクレジットカードで精算していたらしい。

文剛は『こういう時は男が払うものだよ』といって、受け取ってくれなかった。

だから、今週は私がお弁当を作って持っていくことにした。


それで、早起きしているというわけだ。


材料を冷蔵庫から取り出し、下ごしらえをする。その間にフライパンを温め具材を放り込むと、香ばしい香りが部屋に広がった。

先週もクッキーを焼いたので早起きしたのだが、今日はまた違った感情が芽生えている。

誰かのために料理をすることが、こんなにも嬉しいなんて、今まで気づかなかった。



ふん~ふん~ふん~

(はっ!わたし、浮かれすぎている、鼻歌なんか歌って!)


ブンブン、と頭を振る。今日は、先週のような”やらかし”はあってはならない。

気を引き締めないと。


お弁当を詰めて、それからシャワーを浴びて、身だしなみを整える。

今日は、私のスタイルを意識した装いにした。しまむらで買ったタイトなニットセーター、色はパープルで初夏らしく。アンダーもタイトな白のジーンズ、私は胸の大きさに比べてお尻が小さい、スカートよりジーンズの方が似合っていると自分では思っている。

鏡の前でチェックしてみる。

ショーツは、相変わらずネットで買った10枚2800円のものだが、白いジーンズに透けないように白を基調のものにした。


鏡にお尻を向け、身体を捻って何度も確認する。

今度は斜めを向いて、胸の方を確認する。皺を伸ばし身体にピタリとなるように、あちこちを引っ張り、最後にブラの線が浮かんでないか確認する。


「お尻よーし、胸よーし」独り言を言いながら、可笑しくなってクスっと笑ってしまう。


(あ、そろそろ出ないと)


私が住む八王子から吉祥寺まで小一時間かかる。JRで行けば少しは早いのだが、定期を使って行けば電車代も少なくて済むのだ。




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