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地味子が官能小説を書いたら
第1章 放課後の図書館
そこまで書いて、私は、大きく伸びをした。
私は今、大学の図書館に設置してあるパソコンで小説を書いている。
小説投稿サイトで見つけたコンクールに出品するための作品を書いているのだ。
私が書いている作品に出てくる紗栄子は、基本的には私をモデルとしている。美人と言うところは現実と違うけど。
現実の私は美人じゃないし、地味な女の子だ。彼氏もできたことないし、勿論、セックスの経験もない。
田舎育ちで極貧、そして大学2年生の19歳(といっても今年中に20歳になる)と言うところだけが、紗栄子と私の共通点だ。
小説の大まかなストーリーは、プロットにまとめてある。
女子大生(紗栄子)がお金欲しさにバイト感覚でAVに出演するが、そこで出会った男優に恋をしてしまう。その男優に会うためにAVへの出演を繰り返す紗栄子。しかし、その男優も臨時のバイトだったため、なかなか再会できない。諦めかけていたところ、偶然、その男優と再会する。しかも、その男優は同じ大学の学生だった。
出だしは、こんな感じだ。
そこから最終的には、紗栄子と男優の恋愛物語に発展させるつもりだ。
ただ……
その小説には、官能的な要素を取り入れる必要がある。
その為に、出会いのきっかけとなるバイトをAV出演という、私の未知の分野にした。
この未知の分野というのが、今のところ私の最優先課題なのだ。
何故なら、私は性体験がないから。
性体験もないのに、なぜ官能的な小説を書こうとしているのかというと、訳がある。
私は、サイトで仕事を受注しては納品してお金を稼いでいるウェブライターの端くれなのだが、それだけでは極貧生活さえままならないのだ。
奨学金を借り、足りない分を親に援助してもらうが生活費は自分で稼ぐ、という条件で東京の私大への進学を許してもらった。
私は将来、ライターの仕事に就きたいと思っている。そのために、ライティングの仕事を主に稼ぎの糧としているのだ。
で、なぜ官能小説を書いているかというと、小説投稿サイトで見かけた官能小説部門のコンクールの最優秀作品賞の賞金が50万円だったからである。
私は是が非とも、この賞金にありつきたいのだ。
あ、自己紹介が遅れたが、私は、綾瀬花音(あやせかのん)という。