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地味子が官能小説を書いたら
第5章 傷心
「小学生の僕には、ミニヨンって少し年上のお姉さんなんだよね」
「それで、そのお姉さんが、ずっと年上の男の人に失恋して死んじゃうのが凄いショックで、それで、僕がハッピーエンドになる話を作ろうと思ったのが最初かな」
「文剛君のハッピーエンドバージョンは、どうなるの?」
「ミニヨンには、年下の、彼女を慕う男の子がいて、失恋したミニヨンを慰めるんだ『僕が立派になってお姉ちゃんをお嫁さんにする』ってね」と自分で話しておいて、文剛は可笑しそうに笑った。
「その男の子って、まさか……」私は、笑いをこらえて聞く。
「そう、僕がモデル」
文剛が答えると、二人で大笑いした。
「花音ちゃんは、いつから書いているの?」
「去年から、初めて書いたのが『潮騒の記憶』、クオカードが欲しくて書き始めたんだけどね 笑」
「でも分かったんだ……小説の中では、わたしは成りたい自分になれる」
「幼なじみに愛される病弱な女の子だったり、奔放で自由な女の子だったり」
「自分にできないことを、小説の中で代わりに演じてもらうの」
「好きな人に、『好き』だって言ってもらうの……だから、わたしは小説を書いている」
私は、真っすぐに文剛を見る……
(文剛君が好き)
たった一言が伝えられない……
「そうか……僕は女の子を幸せにするヒーローに、花音ちゃんはヒロインになりたくて小説を書く、根っこは同じだね」
「ふ〜」
暫く私たちは夫々の作業に没頭していたが、先に私の清書が終わり大きくため息をついた。
「あ、清書が終わったんだ、見ようか?」
「うん、お願いします。文剛君は?」
「僕も下書きは終わったよ。タブレットに入力中」
そう言って、テーブルから離れ、ソファーへ座った。私もソファーに移動して隣に座る。
「ねえ、下書き見せて」私は文剛が持っていたノート取り、開いた。
そこにはびっしりと文字が書き込まれている。
「うわ、いっぱい書いてある、どれかな……『天然色彼女』、これ?」
ノートを開いた先のページに章名が書いてあり、放課後の図書館〜という記述が見えた。
その瞬間、「それは違うんだ」と慌てて文剛が私からノートを取り戻す。その勢いで私は文剛の胸に引き寄せられる形で、抱きついてしまった。
「あ、ごめんな……さい」文剛の体温を感じる。
「それで、そのお姉さんが、ずっと年上の男の人に失恋して死んじゃうのが凄いショックで、それで、僕がハッピーエンドになる話を作ろうと思ったのが最初かな」
「文剛君のハッピーエンドバージョンは、どうなるの?」
「ミニヨンには、年下の、彼女を慕う男の子がいて、失恋したミニヨンを慰めるんだ『僕が立派になってお姉ちゃんをお嫁さんにする』ってね」と自分で話しておいて、文剛は可笑しそうに笑った。
「その男の子って、まさか……」私は、笑いをこらえて聞く。
「そう、僕がモデル」
文剛が答えると、二人で大笑いした。
「花音ちゃんは、いつから書いているの?」
「去年から、初めて書いたのが『潮騒の記憶』、クオカードが欲しくて書き始めたんだけどね 笑」
「でも分かったんだ……小説の中では、わたしは成りたい自分になれる」
「幼なじみに愛される病弱な女の子だったり、奔放で自由な女の子だったり」
「自分にできないことを、小説の中で代わりに演じてもらうの」
「好きな人に、『好き』だって言ってもらうの……だから、わたしは小説を書いている」
私は、真っすぐに文剛を見る……
(文剛君が好き)
たった一言が伝えられない……
「そうか……僕は女の子を幸せにするヒーローに、花音ちゃんはヒロインになりたくて小説を書く、根っこは同じだね」
「ふ〜」
暫く私たちは夫々の作業に没頭していたが、先に私の清書が終わり大きくため息をついた。
「あ、清書が終わったんだ、見ようか?」
「うん、お願いします。文剛君は?」
「僕も下書きは終わったよ。タブレットに入力中」
そう言って、テーブルから離れ、ソファーへ座った。私もソファーに移動して隣に座る。
「ねえ、下書き見せて」私は文剛が持っていたノート取り、開いた。
そこにはびっしりと文字が書き込まれている。
「うわ、いっぱい書いてある、どれかな……『天然色彼女』、これ?」
ノートを開いた先のページに章名が書いてあり、放課後の図書館〜という記述が見えた。
その瞬間、「それは違うんだ」と慌てて文剛が私からノートを取り戻す。その勢いで私は文剛の胸に引き寄せられる形で、抱きついてしまった。
「あ、ごめんな……さい」文剛の体温を感じる。