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地味子が官能小説を書いたら
第5章 傷心
文剛の身体の重みが私たちの身体を密着させる。

唇を離すと、文剛は私を見つめながら、髪を撫でてくれた。

私は下から手を伸ばし、文剛の頬を包むと、もう一度と言わんばかりに引き寄せる。

またも文剛の顔が近づく、そして唇を合わせた。

今度は、さっきよりも更に力強く、お互いの舌を絡み合わせる。

静まり返った部屋の中に『チュパっ』『チュパっ』とぬめりが絡み合う音が響いた。


やがて、文剛の手がニットのセーターの裾から侵入し、私の肌に触れた。

(あ、ダメ、これ以上は……)

でも、身体が拒否しない。私の意思に反して、もっと×2、これ以上の事をして欲しいと……


セーターの下で、文剛の手はさらに上を目指す。その動きでセーターはめくれ、私の肌が露出した。


文剛の手は私のブラにまで達し、私の大きな胸のふくらみを揉みしだいた。

「はあ……ん」初めての感触に、私は思わず声を漏らし、のけぞる。

すると、今度は、文剛はセーターの裾を両手でつかむと、ゆっくりと脱がしにかかった。


(ち、ちょっと、いくらなんでも、これ以上は!)

少し身体が固まる。しかし文剛は行動を止めない。いったん私を引き起こすと、そのまま一気にセーターを私からはぎ取った。

公園で買ってもらったペンダントが、その拍子に床の方へ飛んでいき、カチャっと音が鳴った。

私は「きゃあッ」ちいさな悲鳴を上げ、露わになった自分の大きな胸を両手でかくした。

これまで気持ち良いと思っていた感情が、徐々に恐怖へと変わる。


私は文剛の事を好きになってしまった。だから、この先へ進むことに抵抗はない。文剛が好きだという人に対しても遠慮はしない、そう思っていたが、いざ事が進むと途端に怖くなってしまった。

そうなると気持ちが不安定になる。

私の心に発生した低気圧は、いつしか涙となって、瞳から零れ落ちていた。

一番やってはいけない反応を示してしまった。


(わたしの……ばか……ばか……ばか……)

自分を罵倒すると、もう抑えきれなくなり、涙が次から次へと零れ落ち頬を濡らした。


私は、わんわんと大声をあげて泣き出してしまった。

(文剛君、ごめんなさい)


申し訳ないと思ったが、止まらない。

顔は涙と鼻水でぐしゃぐしゃになり、鳴き声は嗚咽に変わっていた。

戸惑う文剛の顔が涙でさらにぼやけた。




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