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地味子が官能小説を書いたら
第5章 傷心

---------- 【破】イヤな奴は意外とイイ奴だった① ----------

「じゃあ、準備しようか」杏果はさっきまでのキリッとした大人に戻り、仕事の顔に変わった。

「はい!わたしはどうすれば良いですか?」

「先ずは脱いで」

「ええ!!ここでですか?」

「そうよ、時間がないの、早くして」

だって、ドアは開けっ放しだし、いくら女性だとは言え、人前で裸になるなんて……

紗栄子が戸惑っていると、容赦なく杏果の声が飛ぶ。


「あなたは、女優なの」


「これから撮影スタッフの前で裸になるのよ、その時、恥ずかしくないように私がチェックするの、撮影時間は限られている、急いで!」


(そうだ、わたしは演ると言ったのだ、覚悟を決めないと)


紗栄子は言われるまま服を脱ぎ、全裸になった。

紗栄子が全裸になると、杏果の表情が驚きへと変わる。

「紗栄子ちゃん、羨ましい、素敵なカラダよ」

「あ、ありがとうございます」

杏果のような美人に褒められると、なんだか照れくさい紗栄子であった。

「ちょっと、あちこち触るわよ」

杏果は、紗栄子の身体をチェックする。髪をかき上げ、うなじを。手を上げて腋の下を。

脚のムダ毛、お尻、身体中を隅々と。紗栄子は、なんだかくすぐったい思いがした。

「さすが、良く手入れしてあるわね、ただ、ここは処理しないと」

「ちょっと浴室へ行って待ってて」

杏果に言われ、紗栄子は浴室へ向かう。背中越しに杏果がゴソゴソしているのが聞こえた。


「ちょっと足をここに乗せて」杏果は紗栄子の片足を持つと、バスタブに乗せた。

紗栄子の恥ずかしい部分が杏果の前で露わになる。

「え?杏果さん。恥ずかしいです」

杏果は構わず、指で、紗栄子の恥ずかしいビラをつまんで何やら確認している。

「ヘアの処理が雑ね」

杏果に言われて、紗栄子は顔を真っ赤にした。

「夏場は水着を着るので少しは気を遣うんだけど、今の時期は、怠けてます」

「彼氏は?」

「今はいません」

彼氏がいても、たぶん雑だと思う、と紗栄子は内心思う。

「そう、ここは綺麗にしておいて損はないわよ」

「はあ……」曖昧な返事をする紗栄子。


「まず、カットしましょう」

そう言って、杏果は小さなハサミでジョキジョキと紗栄子のヘアを切り始めた。

床に黒い欠片が落ちる。




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