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地味子が官能小説を書いたら
第5章 傷心

---------- 【破】イヤな奴は意外とイイ奴だった③ ----------

「次は、衣装か……」

「紗栄子ちゃん、ブラのカップとヒップのサイズは?」

「D65・84です」

「これで合うかな」杏果はケースのようなものを漁っていたが、その中から真っ赤なブラとショーツのセットを取りだした。

これは、隠すという事を全く意識していないのか?と思うくらい透け透けのうえ、ショーツに至ってはTバックの、下着としての機能性はゼロの代物だった。

「こ、これを履くんですか?」紗栄子は、これはないでしょう、と言った感じで杏果に尋ねた。


「ただ裸を見せれば良いというものではないの、観ている人は、女優が脱がされる過程や、どんな下着を着けているかで興奮も増すのよ」

「だから、刺激的な下着は必須なのよ」

「プライベートでも役に立つわよ」

「杏果さんは、こういう下着を着けているんですか?」

「うふふ、見る?」

「いや、イイですwww」と紗栄子は笑った。

紗栄子が下着を着けていると、杏果は衣装を選んで、それを着るように指示してきた。

タンクトップとキュロットスカートとという、かなりどうでも良い組み合わせだった。

「服は直ぐに脱がされるから、それでも着ておいて」

「はあ、かなりいい加減なんですね」


「そうよ、撮影も出たとこ勝負、シナリオなんてあってもないようなものなのよ」

「とにかく、観ている人が興奮する画が取れれば良いの」


紗栄子が衣装を身にまとうと、杏果が紗栄子の周りをぐるぐると回って最終チェックを行った。

「うん、紗栄子ちゃん、OK」

「凄く可愛いし、綺麗だよ」

「ありがとうございます、杏果さんみたいな綺麗な人に言われると嬉しいです」



「紗栄子ちゃん」

杏果は紗栄子を抱きしめる。

「ごめんね、巻き込んじゃって、でも、海くんはきっと上手くやってくれる、彼を信じて」

(あんなイヤな奴でも、杏果さんにとっては元カレなんだ、もしかして、まだ好きなのかな?)


今度、杏果に聞いてみようと、紗栄子は思った。


「いっけない、メイクを忘れてた」


「わたし、メイクはバッチリのはずですけど……」

「分かってる、でも、うふふ……別人にしてあげる」

「きっと、紗栄子ちゃんだと分からないと思うよ、知り合いが観ても」




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