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地味子が官能小説を書いたら
第7章 この夜に乾杯!
「あ、あの、わたし……」

(どうしよう、いきなり告白されるなんて……それも、初めてだ、男の子に告白されたの)

頭が、真っ白になる。

「ジブリの映画『耳をすませば』が、それで、舞台となった聖蹟桜ヶ丘」

(あわわ、またしても盛大にやらかすところだった……汗)

「あ、そ、そうなんですね、わたし、観たことないかも」

「映画というより、主人公の女の子が好きで……」
「あ、すみません、気持ち悪いですよね、こんな事を言う男なんて」

「そんなことないです、映画でも、小説でも、その登場人物に特別な思い入れを持つ人ってたくさんいますよ」


そう言って、私は、ミニヨンのためにハッピーエンドの物語を書いたという文剛の事を思い出した。

(イカン、イカン、ケジメはつけただろ花音)

意識から文剛を追い出すため、さらに小机に話題をふる。

「その女の子って、どんな子なんです?」


「う~ん、一言でいえば、読書好きな普通の女の子、ですかね、映画の中では小説も書いてます」

(なんだか、わたしみたいだ……)私は、自分の姿を勝手にその女の子に重ねてみたが、どうしても男の子が好きになるタイプには思えなかった。


「そういえば、綾瀬さんも小説を書いているんですよね」

(キタ!やはりきたか)「え……ええ、投稿サイトで書いてるだけですけど」


「よかったら、綾瀬さんの小説を読ませて頂けませんか?」

「僕、今日お会いした時、きっと月島雫、あ『耳をすませば』の主人公の女の子なのですが、成長したら綾瀬さんみたいになるのかなって思ってたんです」

「ええ!そんな、小机さんの理想の女の子が私みたいになる訳ないじゃないですか」
「わたしなんて……」と言いかけて、声を詰まらせてしまう。

「綾瀬さんは、素敵な女性です、そんなに卑下しないでください」
「綾瀬さんは、きっと、純粋で真面目で誰にでも気遣いができる優しい人だと思います」
「それに……可愛いし」

(ぶぶぶーーー、なに、なに、これ、ストーレート過ぎない?)

「わたし、可愛くないです、地味だし、それに・・・」またしても声が詰まりそうになる。

「イヤな女なんです」



「イヤな女かどうかは、綾瀬さんじゃなく、綾瀬さんに関わる人が決めることだと思います」

「少なくとも、一緒にいたお友達や、僕は、そうは思ってないでしょう」




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