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地味子が官能小説を書いたら
第7章 この夜に乾杯!
「綾瀬さんは、素敵な女性です」

再び小机は言った。

「ありがとうございます、あ、サイトって、ここなんです」と言って、私は小机に『オマショー』のことを教えた。

「ありがとうございます、後でゆっくり読ませて頂きます」

いつの間にか電車は府中まで着ていた。

「綾瀬さん、こんどの土曜日なのですが、ドライブに行きませんか?」

「え、はい」と思わず返事をしてしまう私。

「八王子まで迎えに行きますよ。連絡先を交換して頂けますか?」

「あ、はい……」

「あの、小机さん、その……ひとつお願いがあります」

「何でしょう?」

「わたしたち、同い年なんだし、敬語を止めませんか?ちょっと喋り辛くて、えへへ」

「そうです、あ、いや、そうだね、かしこまって疲れちゃうね」

「うん」

「あ、次、聖蹟桜ヶ丘だよ、小机くん」


「じゃあ、後で連絡するよ、綾瀬さん……っと……花音ちゃんって呼んで良い?」

「うん、連絡待ってる」


電車が止まり、弁岳は降りて行った。

ドアの前まで見送った私は、閉まったドア越しに手を振る。

走り出した電車が、弁岳を小さくする……



電車が明るい駅を抜け、暗闇にもぐりこむと、私は空いた席に座った。

不思議な気がした。

私は男の子と話すのが苦手だったのに、弁岳とはスムーズに会話できた。

文剛との事で、私も少しは成長できたのだろうか?


だとしたら、辛い思いはしたが文剛との事は、けっしてマイナスではなかったんだと思った。



自宅に戻ると、既に23時を過ぎていた。

(遅くなっちゃった……明日も6時起きだから、早く支度して寝ちゃおう)

急いでシャワーを浴び、肌の手入れをしていると、メールの着信を知らせるチャイムが鳴る。

送り主は、弁岳だった。


《今日はお疲れ様。
土曜日だけど、朝9時に京王八王子の駅前に集合では早い?
行き先は、都民の森を経由して奥多摩まで。
そこから、さらに青梅を経由して八王子に戻ってきます。
ちな、僕の車は赤いスポーツカー。》

《はい、9時で大丈夫です。楽しみにしてます。》

と短い返事を書いて送信した。




ベッドに入り、今日一日を振り返ってみる。

思い返せば、目まぐるしい一日だった。

文剛に会って、告白して……つまらないと思った合コンで、弁岳と会い、デートまで約束した。




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