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地味子が官能小説を書いたら
第8章 いつわりの日々
4限目が終わると、すっかり陽は西に傾いていた。

もうすぐ17時だ。あと2時間でできるだけの事をやらなければと、気が急く。

部室に戻ると、向島、流留、それと他に2名の男子学生がいた。2名はまだ知らない学生だ。

「ただいま~」

「花音先輩、おかえり~」直ぐに流留がじゃれついてくる。

「あ、向島先輩、こちらのお二人は?」

と言って、私は二人と挨拶を交わした。

さっそく、私はパソコンを開いて作業に取り掛かる。昼間はライティングの仕事をしたので、これからは小説の続きを書くつもりだった。


またもや流留が隣に座る。

私は構わず小説の続きを書き始めたのだが、直ぐに邪魔が入った。

「花音先輩、パソコン使って何してるんすか?」


「えーと、わたし、ライティングの仕事をしてて、それと小説も書いてるの、今は小説の執筆中」

「へ~、どんな小説?」

(う!)言ってしまって良いものだろうか?

一瞬迷ったが、パソコンを借りているのに隠すのも悪い気がする。

「いま書いているのは、官能小説……なの」

「へ~、意外だ、花音先輩って。そういうものに縁がないっていうか、興味なさそうなのに」


(なによ、縁がないって、確かにわたしは処女ですよ、だ、ベー)と心の中で舌を出す。


「し、賞金が出るの、それが欲しくて……」

「ふ~ん、そうなんだ、じゃあ、俺たちにも見せてよ、小説」

「そうだな、自慢じゃないが、俺たちはエロゲーを死ぬほどやっている、何かの参考になるかもしれん」

「向島先輩、エロゲーって、何です?」

「それはだな、男の妄想を最大限に増幅させる、官能のアイテムだ」

「あ、俺はやってないっすよ、花音先輩」


「ふ~ん、なんだか役に立ちそう、流留、ちょっと見せて」

「ちょっと、俺のパソコン見てください」そう言われて、流留のパソコンを覗き込む。
頬と頬がくっつきそうになるが、以前のようにドキドキすることはなかった。

「あの……花音先輩……近いっす」と流留は顔を真っ赤にした。

(ふふ、可愛い……)そう思うと、少し意地悪をしたくなる。

今度は腕を絡ませ、「いいから、早くエロゲーとやらを見せて」

何の照れもなく、男の子にこんなことができるなんて、自分の大胆な行動に自分自身驚いていた。


「あ、これっす」

エロゲーとは、エッチなゲームの事だった。



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