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地味子が官能小説を書いたら
第8章 いつわりの日々
「ううう……」向島がゲームの内容を語ると、他の部員が泣き出した。

「泣くな同志よ、気持ちは俺も同じだ、身を挺して仲間を救ったマリン……あのラストで泣かない奴は、エロゲーをやる資格はない」


なんだか気持ち悪いものを見た気がして、私は背筋に何かが這いまわる気がした。

「あの~、素朴な疑問なんですけど」

「なんだ?」

「どうして膣中出しに拘るんですか?」

「魔王に射精させれば勇者たちの勝ちなんですよね?だったら、無理に膣中に出させなくても良いような気がします」

私は、素朴な疑問を投げかけただけのつもりだった。しかし……


向島を始め電研のメンバーが、真っ白な灰になった。


「花音先輩、それを言っちゃ~おしまいよ」

「エロゲーは、男の妄想をかきたてるものなんですよ」

「だから、理屈抜きで抜ければ良いんですよ」

「抜くって、何を抜くの?」

「だから、花音先輩、意地悪しないでくださいよ~」

「意地悪って、本当にわたし分からない、抜くってなにを抜くの?剣とか?」

「堂本、お嬢に説明して差し上げろ」

「ええ~~、こんな馬鹿な質問に答えられないですよ」

馬鹿といわれてムッとする。どうせ私は馬鹿だ。そうやって何度も自分を罵倒している。

「仕方ないな~」と言って、流留は私の耳元でゴニョゴニョと説明をしてくれた。

その瞬間、私は耳まで真っ赤になる。


「その……つまり……男の人はゲームをしながら……その……抜くの……ね」

「じゃあ、アダルトビデオも、そのためにあるの?」

「花音先輩、何を言ってるっす、当たり前じゃないですか」

「ちなみに、ジャンルは違いますが、官能小説も同じ類ですよ」


今度は、私が真っ白な灰になる。

私は、官能小説の根本を理解していなかった。今まで、単なる恋愛小説のエッチバージョンだと思っていたのだ。


「とにかく、我々に読ませてくれ、お嬢の作品を」

私は、オマショーのアドレスと、私の作者名(佳林)を教えた……





「う~ん、小説としては良くできている、が、しかし、これでは抜けん!」

どうだ!と言わんばかりの向島。


「花音先輩、全体に綺麗すぎっす、もっと、こう”ドエロ”にしないと」

他の二人も同様の意見だ。




(どうしよう……今更設定を変えられないし、書き直すにも時間がない)




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