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地味子が官能小説を書いたら
第9章 モダンガール
---------- 【破】カノジョ① ----------
お店を出たときには、夜9時を回っていた。
「ご馳走様でした、杏果さん」
「お礼は社長に、今度会ったときに言って、今日のスポンサーだから」
「はい!」
紗栄子にとって、忘れられない一日だった。まだまだ興奮が収まらない。
「あの……杏果さん、もう少し付き合っていただいても良いですか、わたし、なんだかアドレナリン出まくりで……」
「いいわよ、だったら、私の部屋へ来る?」
「良いんですか?ご迷惑じゃないですか?」
「平気よ、一人暮らしだし、ちょうど私も寂しかったの」
杏果が手をあげ、タクシーを拾う。紗栄子も乗り込み、二人は杏果の住むマンションへと向かった。
杏果の住むマンションは、目黒にあり、少し広めのワンルームだった。
「うわ~、杏果さん、凄いところに住んでるんですね、立花企画って、お給料良いんですか?」
「まさか、私の年齢の女性の平均的な給料より低めよ」と杏果は笑った。
「私、YouTuberなのよ」
「ええ、そうなんですか?何を配信してるんですか?」
「特に、何ってわけじゃないけど、私がこの部屋で過ごすところとか、今日一日何があったとか、そういう何でもないもの」
「そんなので再生数を稼げるんですか?」
「世の男は、のぞき見志向の人が多いのよ、若い女の子の生活を覗いて、喜んでるの」
「なに、それ、気持ち悪いwww」
「そうだ、紗栄子ちゃんと一緒にいるところを、配信しても良い?」
「大丈夫、顔は見せないようにしているから、私自身も」
「え~、楽しそう~」
「ちょっと待って」そう言うと、杏果はカメラを設置し、撮影準備を始めた。
それから、ビールを紗栄子に渡し、二人でベッドに座る。
「見える?カメラの映像、二人とも顎から下しか映ってないでしょ?」
「それじゃあ、撮影始めるね」杏果が手元のリモコンを操作すると、ピッと機械音がし、カメラのレンズ付近の録画を示すランプが赤く点灯した。
カメラが録画を始めると、杏果のナレーションが始まった。
「みなさん、こんにちは、こんばんわ~、AV・ADミミで~す、今日は、新人のAV女優さんが遊びに来てくれました~」
「かんぱ~い、イエ~」
杏果につられて、紗栄子も「イエ~」とビールの缶をぶつけた。