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地味子が官能小説を書いたら
第2章 こんな気持ち
明大前で井の頭線へ乗り換え、吉祥寺に到着したのは待ち合わせの10分前だった。

南口改札を抜け、人通りの少ない場所で文剛を待つことにする。

さっき、デートでもないのにうかれている自分に気づいたのだが、男女が二人で会うってデートではないのだろうか?

だとすると、私にとって今日は初デートだ。そう思うと顔が赤くなる気がした。


(いやいや、早川君にその気はない。落ち着け、意識するな花音!)慌てて否定する。

でも、これは収穫だ。きっとデートで待ち合わせする時の女の子の気持ちって、たぶん今の私の気持ちなのだ。これは今後の作品に活かせる。


暫くすると、公園の方の人ごみに頭ひとつ抜けた長身の文剛が歩いてくるのが見えた。こう言う時、背が高いって便利だ。


(わたしの事、気づくかな?)

小さく手を振ってみると、文剛は気づいたのか、右手を大きく上げて応えてくれた。

(何だろう、これって、やっぱりデートみたいだ)

この気持ちは何だろう?ドキドキともワクワクとも違う、こんな気持ち、初めてだ。

「ごめん、待たせちゃった?」

「ううん、少し早くきたから、早川くんは時間通りだよ」

「なんか、今日は感じがちがうね」

普段、私は学校ではトレーナーにジーンズで通っている。スカートを履くのも、実に久しぶりかもしれない。

「休日だから、スカートにしたの、変かな?」


「あ、いや、凄く良いと思います」

(なぜ敬語?)とツッコミたかったが、私も「あ、ありがとうございます」とかしこまってしまう。

「早川君の家は、この近くなの?」私は照れくささを誤魔化すために話題を変える。

「うん、歩いて5分くらいかな。こっちだよ」と、文剛は公園の方へと歩き出した。

私も慌てて、後を追う。長身の文剛と身長155cmの私では歩幅が違いすぎる、文剛はゆっくり歩いているつもりでも、私は駆け足になってしまう。

必死について行き、文剛が「ここだよ」と立ち止まってくれた時には少し息があがっていた。

しかし、そんなことは直ぐにどうでもよくなった。

「え、ここ?」

(えええーーーー!)私は心の中で叫んでしまった。

文剛が『ここだよ』と指し示した建物は、学生が住むには明らかに立派過ぎる。


「うん、ちょっとまって、開けるから」

文剛が入り口に設置されている装置を操作した。







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