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第7章 学芸員の未亡人

　青森市内に入ると美術館や記念館がやたらと目に付いた。あまり雄一の趣味ではないが、一つぐらいと思い、観ていくことにした。平日のため中は空いていた。物珍しいものも多く、結構時間をかけて見て回った。

「宜しかったら、ご説明しましょうか？」

メガネをかけた女性が声をかけてきた。いかにも博物館の職員といった感じだ。

「いいんですか？」
「ええ、他に観覧の方も少ないので」
「じゃ、お願いしようかな」
「わかりました。」

その女性は素敵な笑顔を見せて、おじぎをした。
簡単な自己紹介を済ませる。女性は高橋ともみ、38才 ご主人は若いうちに亡くなったらしい。高校生の娘と二人暮しだが、その娘も現在は海外に留学中らしい。
一時間ぐらい説明してもらった。

「雄一さんは、一人で旅行されているんですか？」
「そうですね。キャンプ場周りって感じですけどね」

そう言って雄一は笑った。

「今夜はどちらのキャンプ場ですか？」
「Tキャンプ場です。ここからそんなに遠くないですよね。」