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出会いを求めて
第8章 男性不信の少女
 青森からフェリーで函館に移動した。乗船時間は4時間近くかかる。後30分程で函館に到着という時、小海あづさからの電話が鳴った。

「雄一さんご無沙汰です。今どの辺ですか?」
「今はフェリーで函館に移動中だよもうすぐ着くかな」
「ちょうどよかった。お願いしたい事があるです。」
「いいよ。なんでも言って」

あづさの話では、20歳の女の子と一緒に食事をして欲しい。雄一にとっては、願っても無い事だが。
彼女の名前は斉藤裕子、10代の時に、付き合っていた彼氏に乱暴され、男性不信に陥った。それであづさと同じ世界に入ってきたけど、そっちの世界も少し抵抗があるらしく、上手くいっていなかった。

「それで、雄一さんに男性不信を、解消させてあげて貰えないかと…」
「話は分かったけど、俺で役にたつかな」
「雄一さんなら大丈夫ですよ。真澄も凄く喜んでいましたよ。何とかお願いできませんか?」
「あづさちゃんのお願いだからな、頑張ってみるよ」
「ありがとうございます!山形に来た時は必ず連絡ください。たっぷりお礼しますから」

たっぷりという言葉が淫靡な響きに聞こえた。
フェリーを降りて、約束のホテルに向かう。スイートの部屋を一応チェックインしてから、ラウンジで待つ事にした。
時間5分前に、それらしき女性が現れた。洋服はOL風だが、顔立ちはまるで可愛らしい高校生で、紺色のスーツが制服にも見える。
目線が合ったので、光一は軽く手を振った。裕子は気付いたらしく、光一の方に寄ってきた。

「こんばんは、雄一さんですか?」
「そうです。裕子さんですね」
「はい」
「お腹空いちゃってるでしょう?俺はぺこぺこです。」
「私もぺこぺこです」

裕子も笑顔で答えた。

「それでは、二人とも同じ状況なので、急いで食事にしましょう。ここのレストランでいいですか?」
「できれば、向かい側のイタリアンレストランが…」
「いいですね〜。そっちにしましょう。」

食事はパスタ、サラダ、ワイン。雄一はデジャヴなのかと感じていた。
今回は大盛りの夏野菜パスタをオーダーし、好きなだけ取って食べるメニューだった。食事中は、ワインの程よいアルコールが、和やかなムードを演出していた。雄一の話も裕子の笑いを誘い、二人で大笑いする場面もあった。

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