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夏の終わりに
第14章 困惑
帰りの車中で千里は、対岸で片付けを始めている屋台を眺めていた。
最後に、浩人と一緒に屋台を散策したのはいつだったか、その時の記憶が甦る。
千里は中学生だった。
屋台でいろいろ購入してから神社へ行く予定でいたけれど、会場で当時のクラスメートと出会し、からかわれ、浩人は取り囲まれてしまった。
持て囃されて優しく微笑む浩人が面白くなくて、千里は拗ねてしまい……結局、何も買わずに会場を後にしたのだ。
「屋台、行きたかったな……」
「駄目だよ。あいつらに会うかもしれないから」
浩人がそう言って苦痛に顔を歪めたことに、対岸を見つめていた千里は気づかない。
「うん、そうなんだけど……」
独り言のように呟いて、不意に名案とばかりに浩人へ向きなおる。
「ヒロ兄ちゃんの焼きそばが食べたいな」
「……、」
「他にも屋台メニューいっぱい作ろうよ」
最後に、浩人と一緒に屋台を散策したのはいつだったか、その時の記憶が甦る。
千里は中学生だった。
屋台でいろいろ購入してから神社へ行く予定でいたけれど、会場で当時のクラスメートと出会し、からかわれ、浩人は取り囲まれてしまった。
持て囃されて優しく微笑む浩人が面白くなくて、千里は拗ねてしまい……結局、何も買わずに会場を後にしたのだ。
「屋台、行きたかったな……」
「駄目だよ。あいつらに会うかもしれないから」
浩人がそう言って苦痛に顔を歪めたことに、対岸を見つめていた千里は気づかない。
「うん、そうなんだけど……」
独り言のように呟いて、不意に名案とばかりに浩人へ向きなおる。
「ヒロ兄ちゃんの焼きそばが食べたいな」
「……、」
「他にも屋台メニューいっぱい作ろうよ」