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夏の終わりに
第14章 困惑
青信号になり、浩人は再び車を走らせる。

「ダメじゃないけど……」

なんで……?

浩人は横目でこっそりと千里を盗み見する。


犯した、とは思っていない。

千里は、拙いながらも懸命に応えてくれた。それが愛おしくて、切なくなるほど。
拒絶もなかった。しがみついてきた手は、終わった後でさえ優しかった。悲鳴もなく、千里の膣は浩人を飲み込もうと蠢いていた。

だから、あれは合意の上。


そう思っている。
四年前とは違う、と。

しかし、越えてはいけない一線を超えて最後までしてしまった。
その事実は変わらない。

純粋で、清らかなで、尊く、誰よりも大切だった。その千里を、飢えに負けて、己れの欲望を満たすためだけに遂に汚してしまった。
守ると誓った自分が、千里を襲ってしまった。


それなのに千里は、何もなかったかのように焼きそばが食べたいと言う。
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