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夏の終わりに
第14章 困惑
「けど……?」

押し黙った浩人に痺れを切らしたように、千里が先を促す。

「……太るぞ」

苦し紛れに呟くと、千里が小さく息を吐き出したのが分かった。

……緊張していた?

「太らないもん」

無理して話しかけてきたのだろうか。そう思うだけで、胸が絞めつけられる。

「……じゃあ、一晩かかっても食べきれないくらい、たくさん作ろう」

「ありがとう」

チラリと横目で隣を見ると、気づいた千里が微笑んだ。
なんとか微笑み返して、浩人は再び前を見る。


「…ねえ、ヒロ兄ちゃん?」

固い決意がこもった声に、浩人は心臓が激しく波打った。

なに?

そう答えようととして、声が喉に張りついて痛んだ。小さく咳をして、もう一度咳をして、浩人はわざとらしく声を張り上げる。

「焼そばの麺とか、材料、足りないよな。この時間でもやってるスーパーってあったっけ?」


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